05
そんなこんなで村役場に着いた。
「村長は3階の一番奥の部屋に居る。あ、でも役場内には大切な資料がたーーくさんあるから競走とかしないからな。」
「なんでバレた!?」
どうやらバクフーンはする気マンマンだったようだ。
「そりゃだって、どっからどう見てもそんなことを考えそうな感じじゃん。」
「うるせーなてめぇはよ!」
「おい、いい加減黙れ。ここだぞ。」
クロの挑発に喧嘩腰で答えるバクフーンをエンが黙らせる。
「村長!失礼します!」
エンが廊下から叫ぶと、部屋のドアを開ける。
「こんにちは。クロさんたちを連れて参りました。」
「ご苦労。そこのブラッキーがその怪盗クロとやらか?」
村長と呼ばれたシャワーズを見て、クロは「あっ」と思った。
(このシャワーズのおじさんってあの時の…)
クロはブラッキーに進化した日を思い出す。顔を洗いに小川へ行ったとき、かなりあくタイプを毛嫌いしているシャワーズに[ハイドロポンプ]やらを喰らったのだ。
「私が村長のブルーだ。よろしく。まあ村長って言っても先月就任したばかりなんだがな。
さて…。なるほど。あくタイプとなると話が変わってくるな。他のタイプならば特別な待遇を用意していたのだが、何せ私はあくタイプが大嫌いでね。」
「村長!」
「そこのバクフーンもフライゴンも、こんな偽善者と共に行動をしていて嫌じゃないのかね?」
「村長!!いい加減に…」
「エン。」
エンがブチ切れて[ほのおのうず]を繰り出そうとするのをクロが止める。そして、
一歩前に出てこう話し始めた。
「オレはまあ、こんなナリですから人から避けられたり、嫌われることだって多々あります。もう慣れたと言ってもいい程です。
オレたちあくタイプの事を嫌うのは大いに結構です。ですが、今回の件はオレに課せられた使命です。口だけに思われるかもしれません。でも、オレは行動に示してみせます。」
「やはりあくタイプは口が達者だな。そんなに言うならば、そうだなあ。3日だ。3日だけ時間をやろう。その間にエンペルトの野望を打ち砕き、この村を守るのだ。そこまで豪語するならできるだろう?」
エンをはじめ、クロ以外の皆は思わず「えっ?」と顔をしかめる。だってそれは無理に等しいのだ。でもクロは
「はい。やってみせましょう。」
と言ってしまったのだ。
「よかろう。では3日後。期待しておるぞ。」
「はい。ご期待に添えるよう頑張ります。では。」
そう言って村長室を退室する4人。
クロには何か秘策があるに違いない。バクフーンとフライゴンとエンはそう思っていたのだが…
「ヤベエ…言っちまった…」
「「「……………………」」」
役場の建物を出た瞬間にクロがどうなったかは秘密である。