04
翌朝9時。町中に鳴り響く工場の始業のチャイムでフライゴンたちも行動を開始する。
「基本的に建物の配置とかを見ておけばいいってさ。内部の詳細は後で地下から調べるから。」
「わかったです。」
「了解!」
フライゴン、はワシボンとムックルを連れて工場の上空にやって来た。
「うわぁ…デッケー…」
「ね…」
ワシボンとムックルは工場のデカさに絶句する。
フライゴンも、確かにここで自分たちを正規雇用として真っ当に働けたら今までの5~6倍くらいの収入なんか軽く手に入るなと思った。
「とりあえず一回りして全体像を見よう。」
「「はい!」」
3人は上空を大きく旋回する。
ちょうど【3】と書かれた大きな建家に差し掛かった時のこと。
「あっ!なあワシボン。あそこにいるのって父さんじゃねえか?」
「本当だ!お父さーん!!」
2人は大きな荷物を持って建家から出てくるビーダルを発見。彼に向かって飛んでいってしまった。
「あっ、行っちゃダメ!」
フライゴンはギリギリの所で2人を止める。
「何すんだよ!」
「今ここで助けに行ったら、捕まるリスクが高くなるかもしれない。そしたら内部の様子を皆に伝えられないよ。それにあれ見て。」
フライゴンが指を指す先には、ベイリーフがビーダルに並んで歩いている。…と、次の瞬間、突然ビーダルに対して[つるのムチ]を打つ。ビーダルはかなり痛そうにしているが、痛みを堪えてまた歩き出す。
「お父さん…痛そう。」
「多分君たちはレベルの差的にあのベイリーフに対抗できない。悔しいけど、それはあとでクロに任せて、僕たちは任された仕事を全うしよう。」
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「ってな訳で、【3】番建家が工場の本体だね。【4】番建家は本社だと思うよ。」
「フライゴンたちの様子を聞いていろいろ調べてきたけど、従業員の宿舎は【1】番建家と【2】番建家。でもどちらもほとんど牢屋だよね。」
「ってことはこの門から中に侵入して行きゃいいんだな。」
その夕方、皆が調査して得たことを話し合っている。
作戦決行は今日の深夜。その為の最終確認を念入りに行っているのだ。
「よし。役割分担は、フライゴンはいつも通りに輸送係を頼む。マグマラシはこっちに来てくれ。」
「「了解!」」
「で、君たちも一緒に戦いたいのはやまやまなんだけど…。逮捕されるリスクを背負わせたくない。君たちは中の人達をこの地図の赤く記した道を通るように誘導してやってくれ。」
「クロさんたちは?」
「心配するな。終わったらちゃんと戻ってくるさ!」
ニコッとクロは笑ってみせた。