二章 仲間
01
それから2ヶ月。クロはこのこそドロ稼業という仕事に慣れてきて、このところ、クロとグランは別行動をするようになった。
昨日は結構大きな仕事をこなしてきたところ。

「昼までぐっすりと眠ろ…」

そんなクロのささやかな願いはすぐに散り去ってしまう事となる。

「オイ!起きろクロ!」

グランに叩き起された。

「んー何ー?今何時だよ…まだ6:30じゃん!オレにもーちょい寝かせてよ…」
「大変だ!新聞見ろ!」

やたらと慌てている。

「んー?どれどれ?」

《連続窃盗犯 運搬役逮捕か!?

深夜2時頃、[パレットシティ]内にある大地主 マッスグマのライン氏の私有地に 住所 職業不詳のドンカラスのドン容疑者が不法侵入しているところを警備員が発見、現行犯逮捕した。
調べによると、取り調べには全く応じていないという。だが、その数時間前にライン氏の自宅から盗まれた[かみなりのいし]を所持していた事から、警察は窃盗の容疑での立件、及び最近増加している大富豪を狙った窃盗事件にも関与しているものと見て捜査を進めている。》

「…え!?」

クロは驚きを隠せなかった。

「な…何で?」
「分からない。とりあえず警察署に行ってみよう。オイラ、あいつと話がしたい。」
「だったらオレも行く。オレも会って…」
「ダメだ。あくタイプが2人で警察署に行ってどうするってんだ。それこそ組織だと思われてオイラ達に足がつく。お前はこっちに残って今日の依頼をこなす準備をしといてくれ。」

クロの返事を待たずにグランは警察署に向かった。

「それもそうだけど…オレだって仲間だ。何かできることがあるはず…」

そういえば。クロは思った。
何でドンはわざわざターゲットの私有地にいたのだろうか?そんな足のつくようなことをあのドンがしでかす訳がない。じゃあ何で?
クロはベッドから飛び起きると、グランが用意してくれた朝飯をそこそこに摂り、その私有地とやらに向かった。


ちゃ ( 2013/10/08(火) 00:53 )