一章 怪盗クロ、只今参上!
01
イーブイ。不安定な遺伝子を持ち、様々なタイプのポケモンに進化することができるポケモンである。多くのイーブイは、住んでいる環境によりどのポケモンに進化するかは変わってくるのだが、この村は例外だった。
山間部の盆地にあるのは《星の里》。夜になると、たくさんの星が輝く素敵なところ。この村は、四方を6つの山に囲まれているのだが、東の山はかみなりのいし、南の山はみずのいし、西の山はほのおのいしの採石場なのである。また、北には雪山が、南東方向には豊かな森林、北西の山にはこの村の氏神様である太陽神社がある。風のいたずらで、各方向から進化に関わるエネルギーを風にのせて村に吹く。そのエネルギーは12歳ぐらいのイーブイに影響を及ぼし、進化させるのだ。
それは、今日12歳の誕生日を迎えたイーブイのモフも例外ではなかった。

「ボク、父さんみたいな立派なサンダースになりたいな!」

「いや、お前オレみたいにブースターになれよ!身体中いつでもポッカポカだぞ!」

「兄さん何言ってんの?アタシみたいに川や海で泳げるシャワーズの方が良いに決まっているじゃないのよ。」

楽しそうに食卓を囲んでいるのは、モフとその家族。父のサンダースのライと17歳の兄、ブースターのエン、15歳の姉、シャワーズのアクア。母のリーフィアのリーフは村の外での仕事で今晩は帰って来れないのだとか。

「ほら。三人とも明日は学校だろ?早く寝なさい。」

夜も更けてきたし、今日の主役のモフもどうやら疲れているようだった。

「「「おやすみなさい!」」」

三人はそれぞれに自分のベッドに横たわる…が、モフにとってみては何に進化するのかすごく楽しみなところ。

「エン兄?アクア姉?」

もっと進化のことを聞きたかったのだが、兄弟は先に眠りについたようだ。
モフは、一人興奮して眠れないまま12時を迎えた。今日の夜は満月だった。風は無風だった。月が空のてっぺんに達した瞬間だった。

「あれ、身体に力が漲るぞ。これが進化なのかな?」

途端、急に睡魔に襲われる。

「何に進化したのか気になるけど…眠いから明日!」

そのままモフは眠りについた。これが悲劇の始まりだとは知らず…。

■筆者メッセージ
初めまして!ちゃと申します。
いつ更新できるかはかなり不定期になると思いますが、頑張ります!
さて、イーブイの進化の説明の点ですが、アニメ金銀編第239話「キレイハナとラフレシア!そうげんのへいわ!」のクサイハナがキレイハナもしくはラフレシアに進化するシーンをイメージして頂くといいと思います。
ちゃ ( 2013/09/16(月) 22:36 )