第二十一話 シェイミの里
昨日のモンスターハウスの件から一転、一行は”空の頂”に向かう準備をしていた。
「サクラから地図も貰ったし、道具も準備もばっちりね!!」
「ナージとコーフィは終わったか?」
「うん、おっけーだよ〜」
「うん、私も大丈夫」
それぞれがそう言いトレジャータウンを後にしようとしたが、やはりホノオは昨日からだが、コーフィがやけに元気がないのを気にしていた。
すると、コーフィがそんなホノオの心象を感じ取ったのか、ホノオ達にこう告げた。
「…なんだかね、私、すごく嫌な予感がするの…兄さんの時みたいに、ね……
でも、もし私の兄弟たちと戦うことになっても、遠慮なく倒しちゃって、いいから…ううん、いつまでもこんなんじゃダメだね。ごめんね、みんな。もう、大丈夫よ!さあ、”空の頂”へいきましょう!」
ホノオ達は、それを黙って聞き、最後の一言に大きくうなずいた。
”空の頂”
「ここが…”空の頂”…!!」
スカイは”空の頂”に着くなり、そのあまりにも素晴らしい景色に、歓声をあげた。
「こんなにも素晴らしい自然があるとは…驚きだな…」
「おぉ〜、すごく綺麗な景色だねぇ〜」
「すごい…こんな風景、初めて見たわ…」
ホノオ達もそれぞれの感想を述べている。と、そこに一人の小柄なポケモンがやってきた。
「そう言っていただけると、とても喜ばしい限りです。あ、”空の頂”にお越しくださり、有難うございます!と言っても、詳しく言うとここは”シェイミの里”と呼ばれる所なんですが、私はここの案内人のクレアと言います。どうぞよろしくお願いします」
クレアというそのポケモンは、ピンクの花がとてもかわいらしく付いている、”シェイミ”という、幻のポケモンだ。スカイは、ここがまだ”シェイミの里”だと知り、「そうだったの」と言っていた。
すると、ナージがクレアに、
「君の種族はシェイミ、ってことはここに住んでいる他のポケモンもシェイミが殆どなのかな?」
と聞いた。
「はい、そうです。ここは”シェイミの里”ですから」
「ナージ、なんで分かったの?」
「んー、森の守り神として草タイプのポケモンの事は知っているからね。何時の日か、森のポケモンたちがこの世界には”シェイミの里”と呼ばれるところがある、っていう噂を聞いたことがあったからね」
スカイに問われ、ナージはそう答えた。
そしてクレアが、
「皆さんがここに来たということは、”空の頂”の山頂を目指すためですか?」
と言ったので、スカイたちは取りあえず、観光も兼ねての探索、のような感じで返していた。
「でしたら、私が案内しますね。ここでは、そういうことになってますんで」
そういい、スカイたちは山を登りに行った。
しばらくすると、スカイたちは三合目まで登っていた。
「山登りって案外厳しいのね〜…まさかこれほどだなんてね…」
「そのうち慣れてきますよ。最初は大体の方がこんな感じですから」
「やっぱりそういうものなのかな〜」
そんな雑談を交わしていると、スカイたちのもとに三人のポケモンが現れた。
「あなたたちも、サクラさんのカフェで知ってきた方達ですか?」
不意に声をかけられ、少し驚くもスカイは「ええ、そうよ。貴方達は?」と返していた。
「私たちはチーム”フロンティア”と申します。私がリーダーのエルレイドのレイリー、こちらのアブソルがヤイバ、そしてカブトプスのルトラです、どうぞよろしくお願い致します」
レイリーたちはどうやらサクラの知り合いの探検家らしく、実力もかなりのものらしい。それで、今回のプロジェクトで発見された”シェイミの里”、”空の頂”を探検しているらしい。
スカイたちも自己紹介をし、気があったのか一緒に頂上を目指すことにした。
―そのころ、頂上では、妖しい三人のポケモンがいた。
「…ここに”奴ら”が来るって本当なの?誰もいないじゃない」
「早く来すぎただけなんじゃないのー?」
「俺もそう思うぞ、誰だ、早くしないと逃す、とかほざいてたの」
「誰の事を言っているのかしら、あなたは?」
「あーもーめんどくさいなー、なんでもいいじゃんかー」
そんな気の抜けた会話をしているが、穏やかな内容ではなさそうだ。
「それにしても、あの人も能力がうんたらかんたら、何がしたいのか分からないわ」
「まぁまぁ、
ファーミィ姉さん、仕方ないよー」
「
リーディはなんでそんなに呑気なのよ…」
「いつものことだな」
「
レイトスまで!全く…先が思いやられるわ…」
―そのころ、コーフィは、
「…ッ…嫌な予感が、当たらなければいいんだけど…」
そう思い、頂上を目指すのだった―。