第十八話 ”サンシャイン”での死闘!?VSメリィ&ギル!!【中編】
今、”サンシャイン”ではホノオとメリィが睨みあっている。お互い、戦いは始まったものの、両者共に動いていなかった。
「…動かないならこちらから行かせてもらうぞ…!”煙幕”!」
漸くホノオが動いた。とりあえずは”煙幕”でメリィの技の命中率を下げようとするが…
「やっと動いたと思ったらそんな攻撃?笑わせないで!”サイコキネシス”!」
そう言い、メリィが”サイコキネシス”で攻撃を返してきた。
…そしてその戦いの一方でスカイはというと…
「本ッ当に馬鹿ね…あいつは怒ると後先考えれなくなるとこ直せてなかったの…?」
そんなことを言って、ホノオに呆れてた。
どうやらホノオは昔、怒ったら後先考えれなくなるようで、今でもそうだったホノオにとても呆れてた。
これまでに何回もホノオに呆れているスカイだが、それにはちゃんとした理由があった。それは―
―ホノオの使える技の殆どが、シャンデラに対し、効果がない技だから―。
ホノオの使える技は、大文字やフレアドライブといった強力な炎技が使え、けたぐりといった、重いポケモンに対して効果が大きい少し変わった技を使えるが、上記のものすべての技がシャンデラ、つまりメリィに対して効果がなく、ダメージをまったく与えられないのだ。
さらにメリィは特性”もらい火”により、炎技を受けると、自身の炎技の威力が上がるのだ。ホノオのもつ技は、殆どが炎タイプのため、使える技は煙幕のみ。
そのため、たとえ効果はいまひとつだとしても、”特性”のせいで攻撃ができないのだ。
だから、スカイは呆れたし、ナージ達もそのことを聞いて、呆れた。というか、いくらホノオに戦いを任せているからといって、呑気である。
だが。
ホノオは違った。いや、昔とは違ったともいうべきか。
ホノオも自分のことだから、技については分かっており、ちゃんと作戦も立てていた。
だが、そのことをスカイに言うと、スカイはお喋りだからどうせモクの時みたいに口を滑らすだろう、と思い、言わなかったのだ。といってもその作戦とは、いつものホノオらしいといったらホノオらしい簡単なものであり、作戦と呼べるのか怪しいものだが。
「…やっぱり少しキツいか…ちっ…」
ホノオは”サイコキネシス”で戻ってきた”煙幕”をかわして、また”煙幕”うった。
「またその技?もしかしてそれしか使えないんじゃないの?”シャドーボール”!!」
メリィは”シャドーボール”を素早くつくりだし、”煙幕”にぶつけ、相殺する。
その後もホノオは”煙幕”ばかりをうち続け、メリィは相殺するまでもないと思ったのか、よけていく。かわされた”煙幕”はだんだん地面にたまっていっていて、所々ギルド内の床が真っ黒に染まっている。
スカイは「後で掃除確定だな…」と呑気に呟いていた。
「…いい加減にしなさい?私はこんなお遊びに付き合ってるほど暇じゃないのよ。そろそろとどめをさしていいということかしら?」
痺れを切らしたのかメリィは低い声でそう呟き、ホノオの方を見た。
それに対しホノオは…
「はっ、誰がそんなことをさせると言った?それともお前は”攻撃”という選択肢しかないのか?まあ、お前なんかにはそんな考えしかないか…」
”挑発”した。ホノオはメリィをこういう方法でしか”挑発”できないため(挑発を覚えていないから)、成功するか分からないのだが。そもそもこれ自体、”挑発”といってもいいのだが。ホノオ曰くそうらしい。
そしてメリィはというと…
「…言わせておけばさっきからあああああああああああああああ!!!」
まんまと挑発にのった。正直ホノオはめっちゃちょろいと思っていた。
ホノオ的には、あれくらいなら挑発には乗らないかと考えていた。自分たちを狙ってくるからにはそう思っていた。
でも違った。あいつは違った。
正直なところ、ホノオは「あれ、これ通常攻撃ごり押しで相手の攻撃に気をつけたら楽勝なんじゃね?」と思った。
そして―
―思い通りになった。
結局あの後、ホノオの思った通りに事は進み、メリィはあっけなく倒れた。いや、実際挑発には弱かったのだろう。戦っている途中、ずっと挑発されたことに怒っており、ずっと喋りながら戦っていた。
そのおかげ(?)もあってか、メリィはすぐに息が切れ、とどめの一撃をくらい、見事にKOされたのだった。
戦いが終わった後、ホノオは「スカイに言って、スカイが口を滑らしていても勝てたか」と思っていた。まあ、そうしたらスカイに「そんなベタなこと、作戦でもなんでもない」とか、そこらへんの事を言われていただろう。
…まあ、こんな茶番は始まりにすぎず。
「どうしても戦わないといけないの!?兄さん!!」
「…」
もうひとつの戦いは、すぐに始まろうとしていた―。