第十三話 光の渦巻き(ライトニングヴォルテックス)
私はホノオだけをつれて、図書館の秘密のスペースで事を伝えた。ホノオだけをつれていく途中、コーフィとナージには色々と言われたけど、ナゾの声から言われたことだし、仕方がないわよね…。
「………そうだったのか…無理矢理聞き出そうとして悪かったな……」
ホノオがこんなことを言うのは珍しい。私は目を丸くしながらも、首を横に振った。
そして今はホノオに話し終えて私たちが戻ってきた直後。するとハート親方は本のとあるページを開いて待っていた。そのページを私が覗きこんだ。するとハート親方はその本を私たちに見せてくれた。
そのページに載っていたのは、なんと私の使った技、光の(ライトニング)渦巻き(ヴォルテックス)の詳細が載っていた。
私はそのページに釘付けになって読み始めた。それとほぼ同時にハート親方がこう言いはじめた。
「おぬし達には不思議な能力が身体に宿る故、そのような技を持つのだ。……その本はこの世に1冊しかなくてな。ホノオたちの使える技も載っているのだが……」
そこまで言うと、ホノオたち4人は飛び上がりそうになった。でも私は自分の使った技のことを少しでもいいから知りたかった。私たちはハート親方が最後に口ごもったことも気に止めずに本を読もうとした。
「ねえ、とりあえず私の技について読んでもいい?」
私はそう言い、3人の了承を得て、読み始めた。
「え〜っと……何々……光の(ライトニング)渦巻き(ヴォルテックス)は電気を帯びた渦巻きを相手に放ち、その相手を渦に閉じ込める技。この技は必中であり、尚且つ威力は150もある。ただし、その絶大な威力と命中を誇るだけあって、使用した本人への負担は計り知れない……そんなにすごい技だったのね……」
私は本に載っていたことを読み上げた。でもまさかこんなにすごい技だったなんて予想もしてなかったわ…するとホノオが本のページをめくると…
「このページは……?」
ホノオが怪訝そうな顔でそう言った。私はそれが気になってそのページを覗いた。すると私達は呆気にとられた。
なんと次のページからは破れていたの。
そしたらハート親方がこう言った。
「載っていると言えば嘘になる。だが載っていないとも言えば嘘になる。………この意味が分かるか?ホノオ…」
するとホノオは簡単に答えた。
「……今は
載っていないだけ、そうですか?親方。」
「ご名答。その通りなんだ」
私はホノオの言いたいことが分かった。つまり………
1度使った技なら、この本に自動的に登録される――
この本はこういう仕組みだと悟った。何故そういう仕組みかは知らないけど。すると不意にハート親方が話し始めた。
「この本は、能力を身体に宿りし者にのみ力を貸す」
「……と言いますと………?」
私がそう尋ねるとハート親方は……
「それはいずれ分かるであろう…」
そう告げて、私たちに背を向けた。……そして己の持ち場へ戻っていった。
☆
そのころ………
「ねえ、アンタまさかやられただけで帰ってきたってオチはないでしょうね……?」
なにやら遺跡らしきアジトで話をしている♀のポケモンが2人いた。
「……そういうオチで悪かったね…」
「……!!まさか本当に手ぶらで…」
「手ぶらって訳じゃないよ……アイツの使った技…それを見れたんだから十分でしょ…」
どうやらこの話の内容からして推測できるアイツとは……スカイの事だ。そしてスカイと戦った人物…それは…
モクだ。モクが今話している2人のうちの1人だったのだ。するとモクは予想外のことを口にした。
「奴らに”宿木の種”をまいた時、一緒に
発信機も付けといたし…。」
なんとモクは、ホノオたちに発信機をつけていたのだった。
するとそこにもう1人、♂のポケモンがやってきた。
「…いつまで話している。奴らの居場所が分かったのならば早く仕事につけ。」
「相変わらずだね、アンタは…」
そう言ったのは、モクではない方のポケモンだった。すると♂のポケモンは…
「………ボスからの命令だ。」
低い声でそう言い放った。するとモクは…
「…!!……分かってるよ、それくらい…」
そう言った。そして♂のポケモンが去った後…
「今度はメリィが行ってよ。僕もう疲れたし。」
モクがそういうとメリィと呼ばれたポケモンは、面倒くさそうにこう言った。
「…そういうと思ったわ、モク。仕方ないわね、ギル!!一緒についてきなさい!」
「………。」
メリィがそう叫び、ギルと呼ばれたポケモンは言葉を発せず、ただ頷いただけだった。
「えっと、発信機が示している場所は…あった、ギルド”サンシャイン”だって。じゃあメリィ、ギル、気をつけてね〜」
モクがそういうのも聞かずに、メリィとギルは去っていった。