第一話 出発の前夜
「これはこっちアレはあっち…っと…嗚呼、もう、終わんないったらありゃしない!!ねぇホノオ、私達って何で今更自分の能力について調べようと思ったのかしらね?」
「…いきなり話とぶよな、お前…つか知るか、ンな事…学校があったからじゃねえのか…?」
今話をしているポケモンは、メスのライチュウことスカイと、オスのバクフーンことホノオの2人は、自分の持つ能力についてどうして今まで調べようとしなかったのかを話していた。
「あ、そっか。でもそれって2年も前のことでしょ?どうしてもっと前に調べようとしなかったんだろ?」
「だから知るか、そんなモン。もうオレに聞くな、疲れてくる」
スカイは思ったことをすぐ口にするタイプなので、ホノオの心境などお構いなしに喋った。
勿論ホノオは自分が知ったこっちゃないことを言われたって呆れるし、疲れてくるだけだ。
そして…
「でもさ、でもさ、本当不思議だよねー、この能りょ…」
「だーっ!もう、うるせえええええええええええええええええ!!人の話聞いてたか!?」
ホノオはついに痺れをきらした。
そりゃあ、もう聞くなと言われたのにお構いなしに聞くのは失礼だ。俗に言う”親しき仲にも礼儀あり”、というヤツだ。
普段は冷静沈着なホノオが怒るのも、無理はない。自分はゆっくりしたいのに。
それに対しスカイの反応はというと…
「ハイハイ、キコエナーイ」
彼女は完全に棒読みである。…しかも全く反省しておらず、この始末だ。
「…もういい、勝手にほざいてろ…」
ホノオは心が折れたのか、あきらめて自分の準備に戻った。
ちなみに準備というのは、自分の能力について調べるため旅に出る準備だ。
〜20分後〜
「よし、準備終わったぁ…今日はもう寝よ…」
「そうだな、オレももう寝るとするか…」
どうやら準備が終わったのか(因みにスカイはこの間も炎々と喋り続けていた)、ホノオは”先に寝るぞ”とスカイに言い、布団へ潜った。
「はぁ、ついに明日から、かぁ…よーし、絶対に私の能力、”ポケモンの心を読み取れる能力”について、なぞを解き明かすぞー!!」
そういい残し、スカイも布団に潜り、眠りについた…だが―
―忍び寄る黒い影に気付かずに。