07
『お願いします。』
互いに挨拶して勝負が始まった。
ゼルは変化球を打つのが不得意なバッターだ。真っ直ぐに絞るためバッターボックスの前の方に立つ。
一方のワルビアル。コジョンド同様に速球派のピッチャーではないから、この対決はワルビアル有利かと思われる。
大きく振りかぶって一球目を投げる。
「《ギガインパクト》!」
インコースにずばっと真っ直ぐが決まった。
「ナイスボール!次こそ打ってやるからな!」
「それはどうですかね!」
《ギガインパクト》は攻撃のあとは暫く動けない技。ワルビアルは長い間をとる。ゼルにしてみればこの間はすごく嫌だろう。自分のタイミングが崩されてるのだから。
それが物語るように、ワルビアルが放った二球目の変化量の大きなカーブに振らされてしまった。これでカウントは2-0。ここからは真っ直ぐに絞っていられない。でも、ゼルはまだ狙いを真っ直ぐに絞るほか無かった。
勝負の三球目。振りかぶって投げる。
「《ギガインパクト》!」
ゼルおまちかねの真っ直ぐだ!しかもコースはそこそこ甘め!
「《きあいパンチ》!」
ジャストミート!打球はレフトスタンドへ真っ直ぐに伸びていく‥。
「ナイスバッティングです。さすがプロ野球選手。プレーが違う。」
「お前も良いボールだったぞ。緩急で振らされてしまったときは正直焦った。」
互いに互いの感想を言い合う。
「それじゃあ本題に入ろうか。皆そこにいるんだろ?」
ゼルがそう言うと、小屋の陰から選手面々が出てくる。
「何で分かったんだろ。」
「ゴンがバレバレなんだよ。」
「確かに入りきってなかったな。」
ちょっと無駄話を叩いたあと、ワルビアルに対してこう告げる。
「お前、ウチのチームでプレーしないか?真っ直ぐとカーブの球速差もだし、そもそもピッチャーとしてお前が必要なんだ。」
「‥‥‥。」
ワルビアルは固まってしまった。
「‥嫌か?」
「そんなことありません!憧れのチームでプレーできるなんて夢みたい!是非お願いします!!」
「よし、決まりだな。よろしく頼むぜ!えっと‥」
「俺はワルビアルのルビア。よろしくお願いします。」
「敬語は要らんぜ!よろしく!」
これで両チームともにピッチャーを獲得した!いよいよ開幕だ。