04
ミオを発ってから8時間。日も暮れてすっかり暗くなった午後8:00。
「やっと着いたぁ〜!」
「思ったよりかかったな。」
「久し振りにバトルをしてヘトヘトですよ‥」
思い思いの感想を口にする。何はともあれクロガネシティに到着したのだ。
「まあ、ポケモンセンターに行って休も‥ん?」
リフィルが何かに気付いた。
「どうしたの?」
「あれ見て。」
リフィルが指差したほうを向くと、黙々とシャドーピッチングをしているゴーリキーの姿があった。
「アイツがひょっとすると‥」
「声かけてみる?」
「だな。」
俺たちはゴーリキーに近づく。リフィルが先陣切って声をかけた。
「こんばんは。野球やってるの?」
「あ‥いや。失礼します。」
たったったったっ‥
ゴーリキーはどっかへ行ってしまった。
「うーん。難しいなあ。」
リフィルは若干凹んだようだ。
「しょうがない。初対面にいきなり声かけられたらこうなるよ。明日の朝もう一回行ってみよ!今日は休んでしっかり回復しよう。」
時刻は午後8:30。遅い夕飯を食べ、ポケモンセンターの客室でぐっすりと眠った。
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翌朝8:00。
「おお。やってるやってる!」
俺たちは炭坑を訪れた。
ガコン!ガチャン!ズドン!
たくさんのポケモンが働いている。
「さあ、この中からゴーリキーを探すのは‥」
簡単だった。かくとうタイプのポケモンがたくさんいるなかで、何故かゴーリキーは一体しかいなかった。
「じゃあ早速。」
俺たちはゴーリキーに近づく。
「こんにちは。ちょっとお時間頂いていいですか?」
エンが見た目からして柄に合わない敬語を使った。まあ、よくよく考えてみると、もともと「ですます調」で話す奴だし、違和感は特になかった。
「ええ、別に‥」
「単刀直入に言います。あなたをスカウトしに伺いました。」
「え‥スカウト!?」
ゴーリキーは目を丸くして驚く。
「スカウト?それは一体どういう風の吹き回しだ?」
「お、親方!?」
「親方さん?」
現れたのはドサイドン。
「ここは俺から説明します。」
俺はありのままを伝えた。チームの現状やら何やらを。
「つまり、お前さん達のチームにはこいつの力が必要だと言うことか。まあ、こいつには野球に対して未練も残ってるだろうからな。ただ、ただでこいつをやるわけにはいかん。こいつと勝負をしろ。」
「ちょっと待って下さい!俺はここで‥」
「お前が夜の公園でシャドーピッチングをしているのを俺は知っている。やっぱり『あれ』が心残りじゃないのか?」
ゴーリキーは黙ってしまった。
「また野球をやるチャンスをもらってるんだ。これを逃して何になる?」
「‥ありがとうございます、親方。」
「決まりだな。今日の午後3:00から街の野球場で行う。ルールはそこで伝える。お互い準備をしておくんだな。」
『はい!』
試合開始まであと6時間。急ピッチの準備が始まった。全てはピッチャー獲得の為に。