05
翌日、俺とゼルの二人でオオスバメとの入団交渉に向かった。
オオスバメとの入団交渉のために指定されたのはポケモンセンターの喫茶店。昨日の活躍は多くの球団のスカウトの目に止まったようだ。机の上には膨大な量の資料が積み重なっていた。
「こんにちは。初めましてオオスバメさん。《ミオスターズ》のキャプテンのバーンです。」
「同じくゼル。よろしくお願いします。」
「元《ナギサハーバーズ》のオールだ。よろしく。早速だが交渉を始めよう。」
互いに挨拶もそこそこに話し合いが始まった。
俺たちはオールに交渉条件を懇切丁寧に呈示した(つもりだ)。年棒とかetc.
「ふん。年俸は今まで交渉した他の球団よりも少ないんだな。」
いや待て。俺の年俸の2倍やぞ。と言いたかったが相手かたの気を悪くさせちゃいけない。ここはグッとこらえて。
「‥‥不服でしょうか?」
下手に回った。
「でしたら後程社長と交渉して‥」
「いや、ただ思っただけだ。別に年俸の為に野球する訳じゃないしな。」
「‥やっぱりそうですよね。」
「で、私が気になるのはどういった使われ方を‥失敬。どんな形で戦力になれるのかということだな。」
確かに。前の球団を戦力外になって、でもまだ野球がしたいからトライアウトを受けたんだろう。
「昨日のバッティングでの活躍を観ました!やっぱり‥」
「やっぱりなんだ?私には代打要員としてベンチを温めてくれと交渉しているのか?」
「いえ、そんな‥」
「それともあれか?代走要員として活躍してほしいと言っているのか?」
「そんな事はありません!」
思わず大声を出してしまった。喫茶店にいる人が皆こっちを向く。
「‥すみません。でも、自分たちの話を聞いてください。
確かに、あなたはもうすぐ38歳。普通に考えてもうすぐ引退。体にもボロがきているでしょう。だから戦力外通告を受けたのかもしれません。それでもあなたはトライアウトで、特にバッティングや走塁でアピールしました。多くの球団は年齢や昨日のアピールをうけて代打や代走での契約を呈示したのでしょう。」
「でも、自分たちは昨日のアピールを見て、オールさんなら自分たちのチームを勝つチームにできると確信しました。大事な『守備の要』として自分たちと野球しませんか?」
俺とゼルは思わず熱くなってしまった。でも、この熱意はオールに伝わったみたいだ。
「すまない。自分の成功ばかり考えてたな。大事な事を忘れてたようだ。よし。私に《ミオスターズ》の一員として戦わせてくれ。」
「はい!よろしくお願いいたします、オールさん!」
こうして、遂に《ミオスターズ》は野手が全員揃った!