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翌日朝9:00。俺たちはトライアウトを見に来ていた。
シンオウリーグでのテスト方法は試合形式である。前所属チームの所在地がテンガンざんの西側と東側にわけ、それでチームを編成する。
「結局、昨日考えてたオーダーだって、ここでどんな選手を獲るかによってまたかわってくるよな。」
「ああ。別に6番7番8番が空いてるからってそこに適した選手を見つける必要はないな。」
「でも、ここでサードかライトかピッチャーのうち誰か一人だけは話をしたいね。」
スタンドから思い思いの言葉を口にする。
「お、そろそろ始まるみたいだぞ。」
両チームのオーダーも発表され、ピッチャーの投球練習も始まった。先攻は東側チームのようだ。
「あのピッチャーって‥」
「ああ。あのスライダーがキレキレのピッチャーでしょ?最後にやられた」
そう。《コトブキファイターズ》の抑えのエースのリオルだ。確か一昨年入団したばっかの若い選手じゃなかったっけ?
「あのスライダーピッチャーが戦力外って、コトブキにも何かあったのかな?」
そうこうしている内に試合が始まった。
「1回の表、東側チームの攻撃は、1番ライトオオスバメ。」
先頭バッターが打席に入る。
リオルが投じたのは《きあいだま》。裕に150qは出てるだろう。でも、オオスバメは打席に入る前に《きあいだめ》を使っていた。おかげであの速球をセンター前に運んだ。
2番に入っているのはサードを守るピカチュウ。バントの構えをしたかと思うと、オオスバメは《でんこうせっか》で盗塁を決める。因みにこのときのキャッチャーのラグラージの《れいとうビーム》に勢いを任せた送球はよかった。そして、《アイアンテール》でヒットエンドランを決める。これでノーアウトランナー2塁。
そして、3番レフトのリザードンでホームラン!時すでに3-0で東側チームのリード。
しかしまあ後が続かない。4番センターのムクホーク、5番ショートのウインディ、6番キャッチャーのオーダイルの三者連続三振。結局3点止まりだった。
対する西側チームの攻撃は、1番ピッチャーリオル。東側チームのピッチャーはゴウカザル。初球は様子見で外角に真っ直ぐ。しかしリオルの反応は良い。次の《かえんほうしゃ》とカーブの合体技を《アイアンテール》でライト前ヒット。そいで2番のセカンドのブラッキーが《てだすけ》と送りバントのコンビネーション技で1アウト3塁。
そして、3番レフトバシャーモはフォアボールで出塁。一打同点のチャンスで4番ファーストのエンブオーが《ヒートスタンプ》でレフトオーバーの3ベース!3-2と、1点差まで詰め寄る。ここで、5番キャッチャーのラグラージがスクイズを試みるも失敗&ゲッツーで3アウト。
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「ふぅ〜。序盤から白熱した試合展開だね。」
リフィルが大きく深呼吸をする。
「どっちのチームも機動力を使っているね。」
とゴン。
「まあ、シンオウ野球の売りだからな。」
とゼル。
「あのオオスバメはすぐにこのチームの戦力になるな。走塁技術とか、バッティングもだね。」
「この試合は5イニングだからな。試合が短い分、皆がアピールするからな。あ、もうそろ2回の表が始まるぞ。」
監督が試合を見るポイントを解説する。
そうこうしている内に7番バッターが打席に入った。