08
《シーア目線》
「ここはどこ?皆は?」
「ここはお前の心のなかとでも言っておこうか。」
どこからか声がする。
「誰?」
「私は人が神と呼ぶ存在。もしくは人が宇宙と呼ぶ存在。はたまた人が世界と呼ぶ存在。そして、私はお前だ。」
「うーん。全然分からないけど‥」
「まあ細かいことは気にしないで良い。それより、本当の自分を知りたいか?」
「本当のオイラ?知りたい!」
「よし。そこの扉を開けてみるんだ。中には本当の自分を知るヒントがあるかもしれない。」
オイラは扉を開けた。そして、その中に一歩踏み出すと‥
「うわぁぁぁぁぁぁっ!」
まるで深い穴の中に落ちていくようだ。
その間、オイラは色々なものを見た。
さっき皆で野球をやっていたときのこと。
昨日皆に会ったときのこと。
オイラがグレイシアに進化したときのこと。
そのあとは何もない。
そのとき、さっきリフィル君とじゃれていた感覚を思い出した。何でだろ。でも、この感覚を思い出すと、オイラの視界が一気に明るくなった!
少年野球で優勝したときのこと。
その大会でもう一匹のイーブイと一緒にMVPをとったときのこと。
「やったね!シーア!」
「ちょっ‥まっ‥不意打ちは良くないよ!リフィル!」
リフィルとじゃれていたときのこと‥
「リフィル‥」
「その通り。昨日からずっと一緒にいるリフィルは君の弟だ。しかも双子のね。君は進化して、イーブイの頃の記憶を失ったんだ。」
「そんな‥オイラにとって一番大切な人のことを覚えていなかったんだ‥」
「もう済んだことさ。リフィルだって許してくれるよ。さあ、皆のところに戻ろう。あの光の方向に行くんだ。新しい世界が待っている。」
「うん。ありがと!」
お礼を言うと、教えてもらった方向に進んでいった。皆に会いたくて‥
☆★☆★☆★《バーン目線》☆★☆★☆★☆
「う‥うぅ‥」
「シーアが気がついた!」
「シーア!」
真っ先にリフィルが駆け寄る。
「リフィル‥ごめん。オイラ、リフィルのことを何一つ覚えていなかった‥」
「良いんだ。こうやってまた思い出してくれて。しかも、何も覚えていなくてもシーアはシーア。僕にとって一番大切な人!」
「リフィル‥うわぁぁぁぁぁぁん!」
シーアは泣き出してしまった。でも、絶対にこの涙は嬉し涙。リフィルも目に涙を浮かべていた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「では改めて。僕たちはこのチームに入団することにしました!」
「よし。じゃあ、俺たちと一緒にてっぺん目指そうぜ!改めてよろしくな!」
俺がそう言うと、またいつの間にかゼルとボルトが作っていたユニフォームを渡した。リフィルは4。シーアが6。
だんだんチームらしくなってきた。でも、この現状に満足しない。俺たちは絶対に優勝する。その目標のために、また俺たちは旅に出た。