07
「なあシーア。あんさ、俺たち広い場所探してるんだけど、この辺にあるかな?あったら案内して欲しいんだけど‥」
まず、さりげなくシーアを外に出す。
「良いよ。着いてきて。」
あっさり成功。
5分で着いた。そこは《ミオスタジアム》よりも広い野原だった。ただ、足元は雪だけど。
「で、何するの?」
よくぞ聞いてくれました。こっちから説明する手間がひとつ省ける。
「野球するんだ。」
「やきゅう?」
「そう。お前もやろうぜ!」
と言って、本人の返事を待たずに俺のグローブを渡す。みに、俺の本職はキャッチャーだが、サブポジションとして外野ができるのだ。
「難しく考えないで良いよ。相手の胸をめがけて投げるんだ。バーン!」
ボルトから良い送球が来る。
「OK!ナイスボール!ほらどんどんいくぜ!ゴン!」
「ほい来た!良いボール!それじゃあそろそろやってみよう!シーア!」
ゴンが緩い球を投げる。でも、その必要は全く要らなかった。何の物怖じなくさらりと捕球。なるほど。記憶に野球の事が全くなくても、体は覚えてるって事か。記憶が完全に戻るまで時間はかからないかもな。
「えっと‥リフィル君!」
でも、記憶に関しては欠片も覚えてないのかな。まだ君づけだ。
「良いボールだよ!もう一回ボルト!」
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肩も暖まってきたし、作戦のクライマックスといこう。
「ねぇ、内野ノックやらない?」
「ないやのっく?」
「そりゃ良いな。シーアも結構ボールさばけてるし。」
これはお世辞ではなくかなり本当のこと。記憶が戻ったらリフィルと共にスカウトするつもりだし。
「じゃあ俺が打つ。それを皆ゲッツー処理な。」
『了解!』
「げっつー?」
「見りゃわかるさ。僕がセカンドに着くから、シーアはショートに着いて。」
「しょーと?」
「うん。あ、その辺だよ。」
何だかんだで迷わずにショートの定位置につく。
「技を使って良いから、ゴロをさばいたら僕にトスしてね。僕からトスされたらあっちのゴンにボールを投げるんだ。」
ま、この説明も必要のないものだったけどね。
軽快なステップでゴロをさばく。そして遂には、
「《こおりのつぶて》!」
「シーアがそのつもりなら!《てだすけ》!からの《エナジーボール》!」
出た!《最強ショーセカンコンビ》!リフィルのプレーだけでもかっこよかったけど、二人揃うとマジでかっこ良い!
「ナイスプレーだよシーア!」
「うん。よくわからないけど、体が咄嗟に‥ってうわぁっ!」
リフィルがシーアに飛び乗る。多分イーブイのときにやってた愛情表現的なやつだろう。
「何だろうこの感じ。前にも感じたことが‥うっ!」
突然呻き声が聞こえる。
「どうしたの?」
「いや、頭痛が‥うがぁぁぁぁぁぁぁっ!」
シーアはぐったりとした。