06
翌朝、目をさますと吹雪は落ち着いてきた。
「お、結構止んでるじゃん。」
「今のうちに戻ろう。皆きっと待ってる‥」
「あれ?二人ともここにいたんだ。」
後ろから聞き覚えのある声がした。
「ゴン!何でここに?」
「朝の散歩だよ。飛ぶ練習も兼ねてね。」
へぇ。俺が知らない間にそんなことしてたのか。
「ここの湖綺麗だね。」
「エイチこって言うんだ。伝説だと、ここの湖には『知識の神』ユクシーが住んでるって言われてるんだ。」
「キャッチャーに必要な知識を全部得られたりしてな。」
「まさか!でも、本当にそうだったらいいなあ。」
「さあ、皆待ってるよ。戻ろう。」
「だな。道案内してくれよ、ゴン。」
「了解。こっちだよ。」
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「ええーっ!シーアの記憶を戻す方法がわかったって!?」
帰ってくるなり早々そりゃ驚いた。
「しーっ!声でかいよ。シーアには記憶喪失であることすら教えてないんだから。」
「ごめん。で、どうするんだ?」
「野球だよ。《伝説のショーセカンコンビ》って呼ばれたぐらいなんだろ?そんなの野球やりゃ一発で記憶を戻せるだろ。」
「でも‥」
俺が色々と質問攻めしようとしたとき。
「バーン、お願い。現状でシーアの記憶を戻せる唯一の方法がこれなんだ。どんなに可能性が低くても0じゃないなら、この方法にすがりたい。」
「だってよ。どうするんだ?キャプテン!」
『キャプテン』か。俺がウジウジしててもしょうがない。皆が俺に判断を委ねているんだ。
「じゃあ、一か八か。その可能性とやらに懸けてみようぜ!」
『了解!』
こうして、俺たちの《シーアの記憶を戻そう大作戦》が動き出した。