05
あれからリフィルが戻ってこない。寒さに強いポケモンではないから、本当に衰弱しているかもしれない。
「俺、ちょっと見に行ってくる。皆はシーアと一緒にいて。」
「えっ?ちょ、バーン!?」
俺は結構雑に言いはなって外に飛び出した。
☆★☆★☆★☆リフィルside★☆★☆★☆★☆
あいつこの猛吹雪のなかどこまで行ったんだ?こっちが風邪ひきそうだ。
湖が見えてきた。あれがエイチこってやつだな。あ、居た!
「おーいリフィル。こんなところにいたら風邪ひくぞ‥」
俺はまた言葉を失いかけた。リフィルは泣いていた。俺たちに決して見せない涙を流していた。
「ねえバーン。本当にシーアは僕のことを知らないんだよね。あれは決してお芝居なんかじゃないんだよね‥」
俺は何も言えなかった。俺自身がまだ受け入れてないのかもしれない。そんなこと言ったらこいつの方がもっと辛いだろう。こんなこと到底受け入れられる筈がない。
「このままシーアが僕のことを思い出してくれなかったら‥僕‥また独りぼっちで‥」
泣きながら俺の胸に飛び込んだ。俺はそんなリフィルを抱き、優しく言った。
「独りぼっちじゃないさ!入団するかは全然知らないけど、こうして一週間を共に過ごした俺たちは仲間だよ!」
「バーン‥うんっ!そうだよね!僕は独りなんかじゃない!」
リフィルにいつもの笑顔が戻ってきた!
「俺たちがついているからな。じゃあ戻ろう‥と言いたいが夜にこの猛吹雪を歩いて帰るのは危険だ。今日はここで野宿して明日の朝戻ろう。こんなときのためにテントは持ってきたんだ。」
皆に連絡しないでいるのもどうかと思ったがしょうがない。とりあえず野宿することにした。
☆★☆★☆★☆シーアside(ボルト目線)★☆★☆★☆
「行っちゃった‥」
猪突猛進とはこのことを言うのだろう。残された俺たちでどうしようか。
「ねえ。オイラあのリーフィア君にすごく悪いことをした気がする。謝りたいな‥」
しみじみとシーアが言う。でも、どんな悪いことをしたのかわかってないのに謝られても‥。『リーフィア君』とかよそよそしく言っちゃってるようじゃダメだと思う。
俺たちは更に黙ってしまった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
それからかなりの時間が経った。多分バーンとリフィルは遠くに行っちゃって戻ってこれないのだろう。さっきテントを持っていったみたいだし、野宿して帰ってくるのだろう。
シーアが完全に寝てしまったことをいいことに、俺とゼルとゴンで話をした。
「シーアはやっぱり記憶喪失なのかな?」
「だろうな。ただ、多分一時的なものだろう。何かきっかけがあれば芋づる式にたくさんの事を思い出すかもしれない。」
「じゃあそのきっかけって何?」
うーん‥
『あっ!』
同じことをひらめいたみたいだ。それが証拠に皆例の写真を見つめていた。
「やっぱり」
「ここは」
「野球でしょ!」
『最強ショーセカンコンビ』と呼ばれていた過去を思い出せば全てを思い出すはず!
俺たちはわくわくしながら布団に入る。作戦決行はバーンが帰ってきてからだ。楽しみだなぁ。