04
多分俺とボルトは多分――と言うよりむしろ絶対に同じことを考えている。皆も同じことを考えているはず。リフィルだって薄々気づいているはず。
――ひょっとしたらこのグレイシアはシーアなんじゃないか?でも、もし違ったら‥
皆が消極的になりすぎて、何も切り出せないままシーアの家に着いてしまった。
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『おじゃまします‥』
おずおずと入る俺たち。
「あっ!これ‥」
居間でボルトが発見したもの。それはどこかで見たことのある写真だった。
「左側が君だよね。右側は‥君の家族?」
やるなあ。そういうアプローチをするのか。リフィルも覚悟を決めたようだ。
俺は関心してしまった。しかし、この作戦がリフィルを傷つけることになるとは誰も考えていなかった。
シーアから返ってきた返事は想像をはるかに絶するものだった。
「分からない。きっとオイラにとって大切な人だと思うけど‥」
リフィルの目から輝きが消えた。そりゃそうだよ。大切な家族の記憶から消えているのだから。
「そんな‥‥!」
リフィルは思わず叫んでしまった。
「‥‥ごめん。ちょっと外の空気を吸ってくるね。」
優しくて、いつも元気な笑顔で、絶対に辛い顔を見せないリフィルが始めて俺たちに辛い顔を見せた。
「相当辛いんだろうな。」
俺たちは自分達で重苦しい雰囲気を出してたんだろう。
「オイラ、なんか悪いことしたのかな?」
シーアまでが暗くなっちゃった。
「そういや、自己紹介がまだだったね。俺はバーン。よろしく。」
さりげなく本人確認をしようと名前を聞き出そうとする。しかし、まさかそんな答えが返ってくるとは全く思わなかった。
「分からない。ずっとここに一人でいるから、分からないんだ。」
これには俺たちも言葉を失った。