02
パシッ!パシッ!
「ナイスボール!」
ボルトとリフィルのキャッチボール。お互いなかなかにいいボールを投げるじゃん。
「ねぇ、伝説のゲッツー観てみたいな!僕がファーストやるからさ。」
ゴンが提案する。
「確かに観てみたいけどさ、誰かショートできるの?」
俺が聞き返す。何せ内野手の見込みがあるのはゴンのファーストだけ。現状のこのチームにとってショートなんて未知の領域だ。
「あ、俺できるぞ!ブイゼル時代はショートだったからな!」
えっ?そうだったの?何か意外。
「そしたら俺がホームからゴロを転がす。二人はそれをさばいてゲッツーをとる。‥っとするとボルトが‥」
「ランナーやろうか?そっちの方が実戦っぽくていいよね。」
「よし、頼んだ。それじゃ皆、張りきって行こうぜ!」
『よし!』
返事と同時に一目散に自分のポジションに駆け出した。
「始めっ!!」
「よっしゃ!さあ来いっ!」
お?ゼルが呼んでるぞ。メインの前にまずはあいつがショートとしてどこまでできるか観てみよう。
「さあ行こう!」
まずはショートにゴロを転がす。
そのタイミングを待ってましたと言わんばかりに
「《でんこうせっか》!」
ボルトが好スタートを切る。
「《てだすけ》!」
《てだすけ》!?何だ?送球の威力をあげてプレー時間を短くしようとしてるのか?
「《きあいだま》!」
「ナイス送球!あとは任せて!《エナジーボール》!」
送球を「捕る」というより《エナジーボール》で「巻き込んだ」と言うべきか。ボルトのスライディングよりも早くセカンドフォースプレーでアウトを一つ。しかもその《エナジーボール》をそのまま送球に活用して無駄な時間を短くする。
パシッ!
「OK!ナイスボール!」
最後はゴンがボールをキャッチしてゲッツー成立。
とりあえずホームから見てて圧巻のプレーだった。 何かもうただ「スゴい」の一点張りだった。
「決めたっ!」
俺は思わず叫んだ。
「お前を俺たちのチームにスカウトする!」
「俺たちのチーム?」
「あれ?言ってなかった?」
俺は全てを話した。
「プロ野球選手か。確かに僕の小さい頃の夢だったなあ。」
「なあ、この話乗らないか?お前の夢なんだろ?」
「うーん。でも、プロ野球選手になるならばシーアも一緒じゃないと。二人でプロ野球選手になるのが夢だったからね。」
「そうか。」
俺が諦めかけたとき‥
「じゃあ俺たちがシーアを見つけてシーアが『プロ野球選手になりたい』って言ったら良いわけでしょ!そしたら俺たちがシーアを捜すよ!」
ボルトの一言。諦めが悪いのか、仲間意識が芽生えたリフィルと離れたくないのか分からないが、ボルトもリフィルと同じチームでプレーしたいみたいだ。
その一言に若干困惑しているリフィル。まあ、いきなりついてくるわけねえだろ‥なんて思った俺が間違え。
「じゃあ僕も連れてって!僕も一緒にシーアを捜す!」
スゲーやる気。やっぱりこいつにチームにいてもらいたい!
「よし。よろしく頼むぜ、リフィル!」
「こちらこそ!」
俺とリフィルはガッチリ握手を交わした。