07
情けない。こんなふがいない自分が嫌だ。俺はベンチから立てずにいた。
「バーン、今日はありがとう。」
ゴンがあいさつに来たようだ。でもうんともすんとも言わず、黙ってた。野球人としてサイテーな奴だ。そんな奴に対して多くを言わないゴンは良い奴だ。
そんなゴンの口から思いもよらぬ言葉が飛び出した。
「その‥言いにくいんだけど‥君たちのチームに合流したいんだ。」
「ええっ!?‥ってそうだな。アマ選手に負けたキャッチャーなんてもう要らないよな。」
「違うよ。」
ゴンが俺の隣に座った。
「君たちと野球がしたいんだ。特にバーンが作る雰囲気の中で野球がしたい。」
俺が作る雰囲気の中で?
「今日僕が勝ったのはプレーの中での技術力だけだよ。あとは負け。
ピッチャーとの間合い。声かけ。雰囲気づくりだってそうだ。キャッチャーなのに何一つ出来てない。
でも、バーンは違った。結果的に僕の勝ちだけど、僕はやっぱりキャッチャーとして学ぶべきことがたくさんあった。僕は君たちとなら成長できるかもしれない。だから君たちのチームに合流したいんだ。」
「今までの『四番キャッチャー』は捨てるのか?」
「自分で掴みとるさ!」
その声はまるで闘志に満ちあふれていた。
「俺そういうの嫌いじゃないぜ!一緒に頑張ろうぜ!」
「そうなると思ったよ!」
ベンチの奥からゼルとボルトがやって来た。
「はい、これゴンのユニフォームだよ。」
真新しいユニフォームを受け取って、ゴンはなんか嬉しそう。
「よし!いつの間に作ってたのか知らねえけど、これでもう《ミオスターズ》の一員だ。皆で頂点目指そうぜ!」
『おおーーっ!』
俺たちは拳を高々と挙げた。何となくだが、頂点を掴みとれる気がした。