04
最初の対決はセカンド送球だ。
この対決では、送球の速さはもちろんのこと、ランナーの動きを瞬時に判断する力、捕ってからの速さが求められる。
ピッチャーはゼル。ランナーにボルト。キャッチャーとセカンドを交代して行う。
まず俺がホームに立つ。ここから見る景色は本当にサイコー!キャッチャーの特権だよね。
何球か肩慣らし程度に軽く投げる。肩の感じは良好なようだ。
「俺は準備OK!皆は?」
「俺はOK!」
「僕も大丈夫だよ。」
「こっちもいいぜ!」
「オーライ!いくぞ!」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
マスクを被り構える。
要求は外角いっぱいのまっすぐ。
全身の力を抜け。そうだ。リラックスリラックス。いいぞ。あとはタイミング。逃すな。一瞬だぞ。
来た!1、2の‥
「《ジャイロボール》!」
よし!いいボール!
パシン!!
「ナイスボール!ただいまの記録、1:84!」
一般的に捕ってからセカンドに到達するまでのタイムが1:9を切れるとプロ野球選手レベルだと聞いたことがある。つまり、それを切れないとプロ野球選手として恥ずかしいということ。ある意味当たり前の記録なのだ。
「OK!いいボールだぞ。その調子でな!」
「サンキュー!お前のボールも走ってるぞ!」
マスクを被り直して、もう一度外角いっぱいに構える。
「さあ来いや!」
来い!来い!来い!来た!
「《ジャイロボール》っ!!」
今度もいいボール!
「ただいまの記録、1:74!」
よっしゃ!自己ベスト更新!
「いいボールだね。でも僕だって負けないよ。」
マウンドの近くですれ違う。声は明るいけど、その顔は真剣そのものだった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「僕もいくよ!」
肩慣らしも済み、ゴンも外角いっぱいに構える‥と言うか、どっしりとしている。
どんな球が来るんだろう。あんなので投げられるのかな?なんて思っていたらゼルがセットポジションに入る。
ゼルが投げた!1、に‥の!?
「《はかいこうせん》!」
ボールが《はかいこうせん》のエネルギーを得て、かなりのスピードでで来る!ミットだけじゃ無理だ!
「《ほのおのパンチ》!」
ボールの威力を殺して捕球する。この時点でボールは既にセカンドに到達しているが、俺はストップウォッチを止める事ができなかった。
2本目も同じ。《はかいこうせん》があまりにもすごすぎる。
結局、このセカンド送球対決は、ゴンのタイムは2本とも測定不能ながら、誰がどこから見ても歴然とした差でゴンの勝ち、という結果に終わった。