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「ストライク!バッターアウト!ゲームセット!」
「はあ」
俺はため息をついた。
これでシンオウリーグ18年連続最下位確定。俺が入団する前から続いている記録がまた一つ更新された。このチームで優勝したいけどできるのかな、なんて思っちゃう。キャプテンとして。キャッチャーとして。
「バクフーンさん」
バッテリーを組むルカリオだ。
「すみません。あそこであんな球投げなければ‥」
「しょうがない。終わったことは気にするな。そんなことよりも次のシーズンに向かって頑張ろうぜ!」
「その事なんですが‥」
《ミオスターズ》のエースの口から思いもよらない言葉が出てきた。
「俺‥移籍することになりました。ホウエンリーグの《カイナマリーンズ》です。」
《カイナマリーンズ》。ホウエンリーグ8連覇。チャンピオンシリーズ通算4回の優勝。ウチとは雲泥の差だ。
確かにルカリオはリーグトップの三振を81個も奪っているし、球速も160Km/hを超える。そんな選手を欲しがるのも無理はない。
「そうか‥。お前が決めたならしょうがないな。新しいチームでも頑張れよ!今度はチャンピオンシリーズで戦おうぜ!」
「はい!ではこれで。バクフーンさん、今までありがとうございました。」
こう言うと、ルカリオはロッカールームを出た。
チームからいなくなってしまうのはルカリオだけでなかった。
それまでに現役を引退することを表明した選手。ルカリオ同様移籍する選手。気がつけばこのチームに残ることにしたのは、俺とレフトを守るフローゼルの二人だけだった。監督もこの悲惨な成績に責任をとって辞任してしまった。
「マジかよ‥チームに二人しかいないってどういうことだよ!」
俺は思わずキレてしまった。キャッチャーとしてあるまじき行為。
「なあ、バクフーン。」
フローゼルはこんなことを言った。