06 ピンチ
「3回の表、《コトブキファイターズ》の攻撃は、7番 セカンド キレイハナ。」
先頭は今年《コトブキファイターズ》に新加入のキレイハナ。昨シーズンはジョウトリーグの《ヒワダグリーンズ》で8番バッターとして活躍。バントの名手だそうだ。
「セーフティバントに警戒だ。前に詰めて来いよ!」
ライトとゴンに指示を出す。
――アウトコースのスライダー。
振りかぶって第一球を投げた。が、投じたボールのコースは甘い!
「もらった!《リーフブレード》!」
カキーンっ!
打球は一二塁間を抜けていく。ライト前ヒットでノーアウトランナー1塁。
続くバッターは8番のユキノオー。とりあえず警戒するバッターの1人だろう。昨シーズンは4本のホームランを放っている。とは言ってもそれは代打での成績。今ピッチャーとして出ているなら送りバントがベターだろう。
――外の真っ直ぐだ。まずは外れて構わない。アウトカウント貰えるなら貰ってしまおう。点差もあるし。
多分俺の意思は伝わってるはずだろう。エドはセットポジションから投げた。
「《ウッドハンマー》!」
誤算だった。コールドゲームのことが頭になかった。さっきまでの勢いなら俺たちはあと5点をとっても可笑しくない。向こうはちょっとでも点差を縮めなきゃいけないのだから、打ってくるに決まってる。ライト前に弾き返され、ノーアウトランナー1、2塁。
でも、打ってくるのがわかったら打ち取るだけだろう。
9番のマスキッパが打席に入る。
――アウトコースにカーブ。《きあいだま》を組み合わせよう。
エドが‥投げた。
「《つるのムチ》!」
「!?」
《つるのムチ》は際限なく(ヒットエンドランの場面ではボール球も)伸ばして打つことができる。打球は強いライナーで三遊間へ‥
「《でんこうせっか》!そして《こおりのつぶて》!リフィル頼んだぞ!」
シーアが《でんこうせっか》を利用して、打球の正面に入る。そしてお得意の捕球×送球技の《こおりのつぶて》でボールをライナーで捕球。すぐにセカンドベースにに投げる。
「ほい来た!《エナジーボール》!ゴン宜しく!!」
そのボールをリフィルはファーストベースに投げる。
「OK!良いボールだ!」
ぱしいっ!
「スゲー‥‥。」
「トリプルプレー成立‥‥」
絶句とは正にこのこと。ヒットエンドランでランナーがスタートを切っていたのが幸をそうした。
とりあえずベンチに戻った。
☆★☆★☆★☆★☆★☆
「よくやった!」
「流石双子だな!」
皆は口々にリフィルとシーアを褒める。
「いやいや、僕たちだけじゃないよ。」
「な。ゴンだってすぐに反応してくれたよね。ありがとうな!」
二人は謙遜するように言った。
「さあ、攻撃だよ。えっと先頭は‥」
「エド、代打だ。」
監督が言う。
「もともと継投の予定だったしな。エン!」
「はいっ!」
エンがベンチを飛び出す。