05 繋ぐ 繋がる
『ヤバイ』って表情を顔に出したダーテング。皆その事に気付いたのだろう。その瞬間にベンチのボルテージは最高潮に達した。
「オールさん!」
「さあ攻めてけ!」
カウントは2-2。ダーテングが投じた6球目は‥
「《タネマシンガン》!」
オールはやっぱりこの球を待っていた!
「《はがねのつばさ》!」
カッキーーーン!
打球はぐんぐんぐんぐんぐんぐんぐんぐん‥‥‥‥スタンドを越えててスタジアムの外へと飛び出した!場外ホームランだ!!
『わーーーーーーーっ!』
スタンドもベンチも大盛り上がり!7-0と大量リードになった。
しかもまだ1アウト。ペースは完全にこっちのものだ。
「3番 レフト フローゼル」
ここで前の打席に先制のスリーランホームランを放っているゼルを迎え、スタジアムは更に盛り上がる。
多分アイツの頭のなかには「大量点を狙うな」という言葉があると思う。前の打席にホームランを放っているからと言って、またホームランを狙う様な奴ではない。今自分ができる全てをする奴だ。それが証拠に、初球の真っ直ぐをコンパクトなスイングをした。
「《きあいパンチ》!」
打球は三遊間を抜けた。レフト前ヒットで1アウトランナー1塁。
「主審!タイム!」
ここで相手ベンチが動いた。
「コトブキファイターズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャー、ダーテングに代わりまして、ユキノオー。ピッチャーはユキノオー‥」
じゅひょうポケモンのユキノオー。あれだけの巨体から投じる球はかなりの豪速球とみて良いだろう。実際、投球練習で投げた球は全て真っ直ぐだった。
「お待たせいたしました。バッターは、4番 ファースト カイリュー。」
「よし!4番の仕事しなきゃね!」
ゴンはにこやかな顔でバッターボックスに向かった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「プレイっ!」
改めて主審のコールが響く。
大きく振りかぶって第一球を投げた。
「《こおりのつぶて》!」
勢いのある球がズバッと決まった。コースはインコースギチギチのところ。これにはゴンも顔を一瞬しかめた。
「ストライク!」
「なるほどね」と言わんばかりに頷く。
続く2球目。ユキノオーが投じたのは‥
「!?」
『超』が付くぐらいと言っていいかもしれないくらいのスローボール。
「アイツ、緩急自在なんだな。」
ゴンは思わず振ってしまい2ストライク。そこで俺はゴンの目が変わった気がした。
3球目。
「《こおりのつぶて》!」
また豪速球だ!このボールに対してゴンは‥
「《きあいパンチ》!」
カキーンっ!
打球は右中間を真っ二つに破ってく。ライトのキノガッサが漸く追い付いた時には3塁ベースを回っていた。
「《エナジーボール》!」
キノガッサがライトからレーザービーム!クロスプレーは‥‥
「アウトォ!」
「うぉぉぉっ!」
俺は思わず叫んでしまった。あの当たりでランナーを還さないライトの好守にも感動。
2アウトランナー2塁になって、俺に打席が回ってきた。俺も真っ直ぐに絞っていた。
その初球。
「《こおりのつぶて》!」
「貰ったぁ!《こおりのつぶて》!」
カッキーーン!!
打球はレフト方向にぐんぐん伸びていく。自分でも「入った!」って思った位。しかし‥
「《そらをとぶ》!」
《そらをとぶ》でレフトのトロピウスがポール際ギリギリのところで捕球した。打球の軌道だけを考えるとホームランコースが故に超悔しい。でも、結果は結果。切りかえて次の回だ!