03 一方的展開?
前の打席をみて大体心の準備はできた。《タネマシンガン》を使うときは真っ直ぐがくる。球威とスピードも上がるが、そこは割り切ろう。
「お願いします。」
これはある種のルーティンワークだ。審判に挨拶をする。まあ、当たり前つったら当たり前なんだがな。そしてバットを高々と構える
初球。ダーテングが投げたのは‥ヤマを張ってた《タネマシンガン》!
「貰った!《ほのおのパンチ》!」
カキーンッッッ!!!
ジャストミートだ!打球は左中間をグーンと伸びていく‥と思いきや。
『《マジカルリーフ》!』
センターとレフトが互いに《マジカルリーフ》で打球を緩める。そして、どちらかと言えば近い位置にいたセンターがガッチリと捕球する。これで2アウトになった。
「悪いな。」
「気を落とさないでください。まだ初回ですし。これからチャンスはありますよ!」
エドと俺は互いにグータッチを交わす。しかし、エドは空振り三振を喫した。まあしょうがない。プロ初打席ってそんなもんさ。本人も切り替えてるみたいだし(もっとも本業はピッチングの方だからか?)。
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2回の表もエドは絶好調だった。
先頭は、昨年の本塁打数リーグトップの4番 トロピウス。そんな相手にもエドは物怖じしなかった。
初球の外の真っ直ぐ。2球目の《きあいだま》のストレート。3球目の緩いカーブ。全ての球が1回よりも気持ちがこもっているように感じた。三球三振で1アウト。
続くは5番 キノガッサ。今エドはいい意味でかなり調子に乗ってきている。この流れを切らさないで欲しい。
初球、俺は慎重に出る。先ずは外に変化球。まあ様子見のつもりだからボール球でいいのだが‥マズイことにコースが甘い!
「《スカイアッパー》!」
打球は左中間を真っ二つ。かろうじてゼルの《アクアジェット》がフェンスの前で打球をおさえたからシングルヒットになった。1アウトランナー1塁。
ここでバッターは6番 ジュプトル。初球、外に真っ直ぐが決まってストライク。しかし、続く2球目のインコースの真っ直ぐを‥
「《リーフブレード》!」
なかなかに強い打球。打球は三遊間を抜こうとしていた。
「《でんこうせっか》!」
「シーア頼むよ!《てだすけ》!」
流石は双子。息のあったコンビネーション技が決まって、シーアは打球に追い付いた。
「後は頼んだ!《こおりのつぶて》!」
「OK!いいボール!《エナジーボール》!」
本当に流石としか言いようがない。セカンドをフォースアウトにするだけじゃなく、ゲッツーも決めた!勿論両方アウトで3アウトになった。
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「やっぱお前らヤバイよ!」
「本当!あれおさえてくれなきゃピンチが広がりかねなかったからな。」
「ヘヘッ!いやぁオイラ必死だったから。」
まんざらでもない顔をしてシーアが照れた。
「さあ、打席も頼むぜ!」
「ああ!」
そう言ってシーアはバッターボックスに向かった。