03
『真理の扉?』
「あ、僕聞いたことある。その扉を開くのに莫大なエネルギーが必要らしいんだって。」
ブイが解説する。
「それを開くとどうなるの?」
僕は質問する。
「えっと、コウキはポケモンのいない世界からやって来たんだってけ。ひょっとしてあのマンガを読んだことがある?」
あのマンガ――ああ、あれか。どっかで言葉を聞いたことがあると思ったら。
「うん。あるよ。」
「なら話が早い。同じような物だと考えていいよ。」
確かにそのマンガには真理の扉の描写があった。その扉を開いて真理を見たら『通行料』として体の一部を持っていかれるらしい。ただし、今回のケースだと『通行料』の問題はグラードンおよびカイオーガの復活によるエネルギーでカバーはできる。問題は『扉を開いたら何が起こるのか』である。
「皆は『シンオウ時空伝説』って知ってる?」
「あ、俺知ってる。超要約すればディアルガとパルキアによってこの世界は創られた。」
ソウが言う。
「それはソウの世界の場合ね。じゃあコウキとエリの世界では?」
「私たちの世界では、何もない『無』の状態で大爆発が起こってできたって言われているわ。」
「僕たちはそれをビッグバンって呼ぶよ。」
「ありがとう。じゃあ聞くけど、それぞれの世界はそうなの。でも、今いるこの世界は?」
『!!』
「コウキ達の世界も、私たちの世界も、ソウの世界も、どれかひとつが崩れると全ての世界が崩れる。この世界では『真理の扉』を開けた者がグラードンとカイオーガ、ディアルガとパルキアの力を使って新たな世界を創造した、と伝説が残っているわ。」
「つまり、この世界にもし何かが起こったら、本来の自分達の世界にも影響が出てくるってことね。」
エリが話をまとめる。そのとき、僕の脳裏に映ったのは友達の顔。僕が中学生の時に交通事故で死んでしまった父さんと母さんの顔。そのあと僕を育ててくれた叔父さんと叔母さんの顔。ソウ、エリ、アイ、ミナミ、そしてヒロヤ‥戦士として一緒に戦っている仲間の顔。そして‥
「ジュン‥」
双子の弟のジュンの顔。