02
「私は情けない話、『宇宙の民』にいたときのことを覚えていないの。でも、この事は言い訳にしちゃいけないと思うわ。そんな私を助けてくれたのはこの子なの。」
そう言うと、エリはルーンを抱き抱え微笑んだ。ルーンは軽く顔を赤らめると、振り切る様にして地面に降りた。茶化そうとしたけどそんな空気じゃなかったからやめた。
「あれは12歳になる誕生日のこと。あの日、破壊した街を丘の上から見下ろしていたとき、この子が『お前このままでいいのか?』って聞いたの。それを聞いて私は今までしてきた罪を知った。」
「だってオイラ、嫌だったんだ。ロボットみたいに意志を持たないでただ街を破壊してばかりいるエリが可哀想で‥」
「‥そうだったの。ありがとう。」
そう言ってルーンを撫でた。
「話を続けるわね。『心』を取り戻した私は『宇宙の民』から逃げた。その時、ちょっと事情があって奴らの自称元幹部に出会ったの。」
「元幹部?」
「ええ。簡単に言えば私と同じ運命を辿った人ね。」
同じ運命を辿った人――様は無理矢理心を奪われた人か。
「彼は奴らの目的を知り、あそこから逃げたそう。その目的を私に教えてくれた。」
「目的?」
そう言えばSは目的について「追い追いわかるでしょう」とほざいてた。確かに、『グラードンの復活』が目的の『光の大地』と『カイオーガの復活』が目的の『漆黒の海』。相反する両者が和解するにはそれなりの理由が必要だろう。
「奴らの目的はね、グラードンおよびカイオーガが復活する時に生じる莫大なエネルギーを利用して《真理の扉》を開けようとしているの!」