05
「改めまして。私はエリ。こっちがパートナーのオル。」
「よろしく。」
「僕はコウキ。で、相棒のブイ。それと途中で仲間になったピース。」
「俺はソウ。こいつがパートナーのヒート。で、こっちは俺が最初にもらったポケモンのミズゴロウのゴロー。」
激闘(?)のあと、僕たちはポケモンセンターの喫茶室にいた。
シンクロを解除した状態では初対面だが、共に戦った僕たちはその姿でも打ち解けた。
話によれば、なんと僕とエリは同じ世界から来たどころか、同じ高校に通っている
同い年だったのだ!ただ、僕は1組だがエリは7組。ついでに僕は軽音楽部だが、エリは陸上部。
そりゃ入学してから半年間で会わないよ。まあ、『高校』を知らなかったソウにはこのドキドキはわからないだろう。
さて、ここで現実に戻ろう。
シンクロを解除した状態、と言った。それはすなわちブイがもとの姿に戻ることを意味する。さっきまでサンダースだったのがイーブイに退化しているのだ。これにはエリも驚きだろう。とりあえず自分の身に何が起こったのか説明した。
「えっと‥。よくわからないけど、コウ君の体には『コウ君』と『ユウキ君』の二つの魂を持っている。で、コウ君は二つの魂をコントロールできる。で、ユウキ君の力を借りると、ブイちゃんは進化をすることができる。ただし、シンクロを解除すると必ずイーブイに戻っちゃう。そういうことね。」
――そこまで理解してもらったならもう言うことはねえな。
「ってかコウ君って‥」
「ブイちゃん!?」
突如つけられたあだ名に困惑の僕とブイ。
「呼びやすくて良いじゃないの。」
『‥さいでっか』
まあ、薄々「別にいいか」と思っていたけどね。
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今日の夜はこっちに泊まることにした。何となくだけどね。
夕飯食べていたときのこと。
「コウキさあ、あのエリって娘のこと好きなの?」
唐突にブイが聞くもんだから
「んぐっ!」
食べていたご飯が喉に詰まりそうになる。
「何言ってんだよ!今日初めて会ったんだからそんなことあるわけ‥」
「えっ!?もしや図星なの!?強がらなくて良いんだよ〜。顔を真っ赤にしちゃって正直者なんだからぁ」
「いやだから違うって!だいたい何でそんなことをきくの?」
僕はものすごーく焦ってる。自分でも『何で!?』って言うくらい。
「いやぁ、さっき『コウ君』とか呼ばれてたときにやついていて嬉しそうだったからさ。」
だそうです。
「で、本当のとこどうなんだ?」
「そりゃまあ、学校が同じだしね。こんなかわいい娘が彼女だったらなって思うけど‥」
これは中々本心。軽音部には正直いって『かわいい』と思える子が居ないからね。
「いっそのことコクっちゃえば!」
スゲー事をさらりと言いやがったよ。このかわいい顔して大して恋には苦労してなさそうな奴は。
さて、ここで皆様はお気づきのことと思うが、ポケモンの言っている事がわかるのは僕たち『戦士』とジョーイさんぐらい。つまり、その辺の一般ピーポーは僕が一方的にイーブイとスピアーに顔を真っ赤にしてぶちギレてるだけなのだ。要ははたからみてキチガイなのだ。
皆の微妙な視線を感じ、ここから立ち去ろうと席を立ったとき。
「コウ君!大変!!」
エリが走ってきた。
「ハァ‥ハァ‥」
「どうしたの?まず息を整えて。」
「ハァ‥うん。あのね、今アイさんから電話があったんだけど、イケブクロがかなり酷いことになってるって!」
そこで僕は嫌な予感がした。
「それってまさか‥」
「うん。ヒロヤ君が病院を抜け出して暴走してるって」
かなりマズイ。
「サンキュー、エリ。情報ありがとう。ブイ、ピース、行くよ!」
『オーライ!』
僕たちはレストランを飛び出す。
頼む。僕たちが着くまでこれ以上被害が増えないでくれ‥
そう願いながら僕はイケブクロに向かって猛ダッシュした。