03
駆けつけると、タワーが建っていたと思われる所からバリアが張られていた。その中には多くのほのおタイプのポケモンが。ヒートもその一匹だった。
ポケモンたちはそれぞれがほのお技を使ってバリアを壊そうとする。バリアがほのおエネルギーを吸収して、どんどん大きくなっていくのだ。
「ブイ!コウキ!準備はいいな!」
――勿論!
「さあ行こう!」
『うぉぉらぁぁぁぁぁっ!』
ユウキとブイがシンクロする‥だけじゃない。多分僕のエネルギーを使っているのだろう、ブイがイーブイではなく、サンダースに進化してシンクロした。
「いけるな。」
(当たり前だ!オイラの身体はもう電気ビリビリだぜ!)
進化すると人柄(?)が変わるブイ。
「良いねぇその心意気!力借りるぜ相棒!」
こっちはこっちでバトルに熱い男。ってか、バリアを破くだけなんだけど。
『100年たっても俺(オイラ)達の絆は変わらない!行くぜ相棒!』
二人で同じことを言ってるし(笑)。まあ、期待しよう。
『《かみなり》!』
放たれた電気エネルギーは物凄い勢いでバリアに当たった!
(よっしゃ!これでバリアは破け‥)
なかった。
「無駄ですよ。」
誰かが近づいてきた。
「初めまして。私の名は‥あまり人に教えたくないんでね。Sとでも言っておこうかね。」
Sと名乗った男はバリアの横に立つ。
「これは《レッドシステム》。ほのおタイプのポケモン捕獲装置とでも言っておこうか。これの良いところはね、捕獲だけじゃなくて同時にエネルギーほのおエネルギーを吸収できるんだ。どうだい?いいものでしょ!」
「どこがた!そもお前は何が目的だ!」
「それはあなたがご存じじゃないんですか?100年前に私の祖父と戦っているのですから。」
「‥‥っ!お前『漆黒の海』の‥」
「古い古い。50年も前に無くなった名前を言わないでくださいよ。私たちは『
宇宙の民』といいます。覚えておいてくださいよ。」
と言ってSはたばこを吸い始めた。
「いや、失敬。話を続けましょうか。『
宇宙の民』についてあなた方はご存じないようですから。
今から50年前、『漆黒の海』と『光の大地』は和解しました。」
『わ‥和解だってぇ!?』
これには僕も驚いた。話を聞いただけだが、両者はまるで水と油みたいに混ざりあうものではない、と認識していたから。
「はい。実はお互いに目指すところは同じで、全く同じ過程を踏む、ということがわかりましたので。」
Sは2本目のたばこに火をつけた。
「‥で、二つが合流してできた組織が『
宇宙の民』っつーことか。」
(いや、納得しちゃ駄目でしょ!)
‥突っ込むところそこか?
「私たちの目的は‥追々わかるでしょう。
それは試作品ですので中のポケモンをどうする、ということはしません。ですが、あなた方の実力を試させていただきましょう。
ヒントとしては‥そうですね。あの真ん中の赤い石。あれが核です。では、またいつか会いましょう。」
「あ、コラ待て!!」
Sはこの場から消えた。
「ふーん。レディを待たせておいて何をしているのかと思えば。こんなところで油を売ってたのね」
後ろから声がした。