01
「君は街を破壊したっていう意識はある?」
「えっ?」
ヒロヤは聞き返した。
「ヒロヤの目‥昨日と全然違う目をしてる。」
「確かに‥。昨日よりも輝いた目を‥ってええっ !」
突然ブイが叫んだ。
「兄さんどうしたの‥ってああっ!」
――ったくもう、二人ともやかまし‥ウソだろ!?
ヒートとユウキまでもが叫ぶということは何か一大事なんだろうか?
――ブイ、ヒート、聞こえるか?
「うん。聞こえるよ」
「えっ?誰?」
「ユウキだよ」
「ええッ!?ユウキ?どうして‥」
そうか。ヒートは知らないんだな。
――話は後だ。コウキ、肉体貸してくれ。
「うん。うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
こないだよりも楽に入れ替われたかな。
――ねぇ、ユウキ。何が起こったの?
「ちょっと上を脱いでもらえるか?」
今僕たちに起こった出来事に戸惑いながらも指示に従うヒロヤ。その体には‥
「なんだこれ‥」
――入れ墨?
左腕にいつだったか読んだマンガで見たような紋――ウロボロスと呼ばれる紋が刻まれていた。
「これはどこで入れたんだ?」
「わかんねえ。俺も初めてこんなところに紋が入っているのを知ったよ。」
――ねえ、一体何なの?この入れ墨に何かあるの?
事情を知っている人々が勝手に話を進めていくもんだから完全に話に乗り遅れてしまった。
「ってかそもそもお前は誰だ?コウキじゃない。」
そっか。ヒロヤはユウキの事を知らなかったよね。
「あ、悪いな。」
ユウキがザックリと説明する。ヒロヤもある程度理解したかな?話を戻して。
「この入れ墨は『漆黒の海』の証だよ。」
ブイが説明する。
――『漆黒の海』?
「前に言った《神を崇拝している人達》のこと。『漆黒の海』はカイオーガを崇拝しているやつらの集い。それに対してグラードンを崇拝しているのが『光の大地』だ。」
ユウキが手帳を見ながら説明する。するとヒートがこう付け足した。
「そして、この入れ墨にはちょっと厄介な事がある。」
「厄介な事?」
自分の左腕の入れ墨をまじまじと見ながら尋ねる。
「ああ。こいつには人をコントロールする力がある。」
――人をコントロールする力?あっ!だからヒロヤは街を破壊したって意識がないんだ!
「多分な。とりあえずアイに連絡しよう。言い方が悪いが、ヒロヤがコントロールされるのを監視することができるのは警察に任せた方が良さそうだからな。」
「100年前とやり方が変わってるかもしれない。とりあえずそれぞれの調査もお願いしよう。」
――OK。じゃあ皆、僕たちの戦いは始まったんだ。この戦い、絶対勝つぞ!
『おぉーーーーーーっ!』
何をしに来たのかわからなくなったが、敵が明確になった。もうやるっきゃねえんだ!