04
「‥‥‥イ。」
「‥‥‥‥よ、‥‥キ。」
どこからか声がする。目をさますと、ブイが僕の胸のなかに顔を埋めてる。目からは涙が流れている。
――どうしたの?
ブイのことを撫でようと右手を動かそうとしたとき。
――えっ!?腕が上がらない‥何で?
「『肉体を借りるぞ』って言ったろ?」
そう言って《僕の身体》はブイを抱き締めた。
「もう一人にしないからな‥」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ブイとピースが眠った頃、僕たちは外に出る。
「すまないな。いきなり『肉体を借りるぞ』なんてね。」
――いいよ。ブイと話がしたかったんでしょ?こっちから見ててユウキがすごく楽しそうだったもん。
「わかってたか。そっちから見ててお前たちが羨ましくてね。」
ベンチに座って、ユウキが缶コーヒーを一口飲む。僕もなんとなく温かさを感じた。
「ああ‥」
――どうしたの?
「いや、ここは俺が死んだところだなって思ってな。」
そうだ。ユウキはここの争いを鎮めるため、戦火の渦に飛び込んだんだ。
「あんなにドンパチドンパチやってたひどい戦争だったのにね‥。」
「な。今はすっかり平和になったよなぁ。‥ってブイ!?」
――どうしてここに?
「そりゃだって、二人ともどっか行っちゃうんだもん。
あ、因みに普通の人が見たらユウキがぶつぶつ独り言を言ってるように聞こえるけど、僕にはちゃんとコウキの声も聞こえているから ね」
――えっ!?僕の声が聞こえるの?
「勿論。だって僕は君の相棒だよ?こんなのがわかんなくて一緒にやっていけるかって言う話だよ。」
――ブイ‥ヤベ、泣きそうになってきた。
「ほらもう、コウキ泣かないの。昨日もこんな感じだったじゃん。もう‥」
――そうだよね。ごめんね。僕がしっかりしなきゃ!
「よし、そしたら‥」
また何かに引っ張られてる感じ!目をさますと‥
――やっぱりこうだな。
身体が元に戻った。
「待って!ユウキはこのまま消えちゃうの?」
ブイが悲しげに聞く。
――大丈夫。またコウキの中にいるから。ちょくちょくコウキに声をかけるし、コウキも声をかけてくれよ!
「うん。ユウキ、これからもよろしくね。 」
――ああ。こっちこそ!
「ブイもだよ!」
「うん!」
僕たちはグータッチを交わす。ちゃんと身体も動くみたいだしね。
「じゃ、戻ろっか!」
僕たちが歩き始めたとき。
ピーポーピーポーピーポーピーポー‥‥‥‥‥
パトカーの音がした。
「何だろうね」
「行ってみよう」
パトカーが進む方向に僕たちもついていった。