09
「お主達に使命を与える。グラードンとカイオーガの復活に関わるあらゆる争いを鎮めるのだ。地上での醜い争いはこの世界の崩壊だけでなく、他のパラレルワールドの崩壊へと繋がっていく。お主達にはそうならぬよう戦うのだ。」
そうか。どれかひとつのパラレルワールドが崩壊したら、他の世界も崩れていく。僕も皆に会えなくなる。旅立ったばかりのソウも、夢を果たせないかもしれない。
改めて僕は、この戦いに勝たなければならないと思った。
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僕はチャンスをうかがっていた。何って?そりゃ質問のだよ。
話題が100年前の事とか、パラレルワールドの事とかになったら、僕にチャンスが巡ってきたってことだよね。
「コウキどうしたの?さっきからずっと黙りっぱなしだよ」
「どうした?何か言いたいことでもあるのか?」
さすがに見破られていたね。
僕は一歩前に出る。
「レックウザ様。僕はあなたに伺いたいことがあります。
99年前の戦士であった『ユウキ』という人物を覚えていらっしゃいますか?」
「99年前‥ああ。覚えておるぞ。」
「ブイから、僕の前世は彼だと聞いております。最近、《夢の叫び》をよく見るのですが、それは何かを暗示している、ということですか?」
「《夢の叫び》か‥」
するとレックウザはこんなことを言い出した。
「ユウキの魂は朽ちてない、ということだ。」
一呼吸間を開けてこう続けた。
「お主がこの世界に来ることとなったのもそう言う訳なのだ。」
「えっ?」
思わず僕も聞き返す。
「お主はユウキの魂を持って産まれたのだ。簡単に言えばブイとシンクロすることを基本能力として持って産まれたからお主はこの世界に来ることとなった。つまり‥」
「産まれた瞬間にこの世界に来ることは決まっていた、ということですね。」
僕はそう言った。
「こっちの世界に来る前にブイとユウキが夢に出てきました。それは、『こっちの世界に来る』という暗示と言うよりも、『ユウキの過去の記憶』を見ていた、ということだったんですね。」
「そう言うことになるな。」
僕は安心した。過去を知り、相手を知った。肩の重荷がおりたのだ。
あとは7人の仲間と戦う!
今まで抽象的過ぎた『戦う』って事が、何となく現実味を帯びてきた。
これからの旅にワクワクしながら、空の木を後にした。