第二章 赤の戦士
06
〜ここから再びコウキ目線の話です〜

「ヒート!」
僕たちは駆け寄った。
身体中傷だらけ。見るからにボロボロだ。
「まったく。無茶するからだよ。
コウキ、悪いけどポケモンセンターに連れて行ける?」
それは弟の注意するべき所はしっかり注意する、兄の優しさが詰まった一言だった。
「ああ。さあ、行くよ!」
ヒートを抱き抱えたとき。
「オイ!こいつはどうするんだ?ヒートが死ぬ気で戦ってまで助けようとしたんだぜ。ヒートの意思を継いであげなきゃいけないんじゃねーか?」
確かにピースの言う通りだ。‥いけるかな?
高さが0.9m。体重19.0kg。うん。余裕。
背中にソウをおぶり、前にヒートを抱いて、僕はポケモンセンターに向かった。
「‥‥無茶しちゃダメって言ったじゃん。まったく‥。そういうところはユウキと一緒だな。」
ブイがぼそりと呟いたのを僕は聞いていた。

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「ジョーイさん!ヒートは?ソウは?」
いつになくブイが突っ込んで質問する。
「マグマラシ君は大きなケガもなくて、ピンピンしてるわ。もう、面会はOKよ。
ソウ君?はケガが酷くて、専門じゃない私には応急処置しかできないから、ニンゲンの病院にお願いしたわ。落ち着いたら連絡するね。」
ヒートは大ケガじゃなかったようだ。とりあえず一安心。
面会OKをもらうと、
「オイ!ヒート!」
早速ピースはヒートの病室に突入する。その様子はまるで借金取りのようで怖かった。
「へへっ。兄さん、コウキさん、ピースさん、また心配かけちゃってすみません。」
「『へへっ』じゃないよ!」
ブイがヒートに《たいあたり》をかます。
「うわっ!」
「僕たちがどれだけ心配したと思ってるの?ただでさえ骨折してたのに‥本当に死んじゃうかと思っちゃったじゃん!ヒートが死んだら僕‥くっ!」
「うん‥ごめんなさい。もう、ひとりぼっちになりたくたかったんだよね。本当にごめんなさい。
あっ!だから兄さん、あのときに助けてくれたんだ。ありがとう。」
ああ、あれか。
「しかしあれは僕たち自身も驚いたね。石がいきなり光って、僕とコウキの体をシンクロさせたんだもん。」
「あのときは咄嗟だったからね。」
「それにしても、僕とコウキの心があの状況でシンクロできてよかったよ。あれは、お互いに考えてる事が一緒だったからできたんだ。」
なるほどね。それって超スゴいことじゃん。
「あ、あの、今このタイミングで言うことじゃないと思うんだけど、進化おめでとう!」
ピースが思い出したかのようにして言う。そうだ。そんなこともあったなあ。
「えっ?あっ!ありがとうございます!ピースさん」
何か変。
そう。「さん」付けに違和感がある。
というより、進化したことによる何かの成長なんだろうけど、今までおどおどしていたか弱いヒノアラシがここまでしっかりしたマグマラシになったのだ。
小学校で仲良くしてもらった先輩に対して、中学校に上がった今、敬語を使わなきゃって思って無理に敬語を使おうとする中1のイメージ。わかるかな?
「ヒート、ぎこちないから良いよ。俺たちは呼び捨てで」
「えっ?でも‥」
「良いよ。よそよそしいのは僕苦手なんだ。」
ヒートは多少ためらったように見えたが、すぐに
「わかったよ。これからもよろしくね!コウキ、ヒート!」
受け入れたようだった。
「ああ。こちらこそ!」
「よろしくね、ヒート!」
また旅が楽しくなってきそう!



















ぎゃおす ( 2012/10/20(土) 23:03 )