04
「栄養状態は良好ね。あとは、その足を治すだけ!
本当は、まだ入院してる方が良いんだけど、ベッドの数が足りないから、とりあえず退院許可をだしましょう。」
入院してから5日後、ヒートの検査の結果が出た。まあ結果は良かったから、僕たちも一安心。
「良かったね、ヒート!」
ブイが祝福する。
「うん!でも‥」
ヒートが首を傾げる。
「どうしたの?嬉しくないの?」
「嬉しいよ!でも、動かない後ろの足はどうするの?」
「確かに、後ろ足は完治してませんよ?」
「なるほど。野生のポケモンに襲われたりしたら、これ以上のケガに繋がりかねないからな。」
「しかも、リハビリもしなきゃいけないよね。そこはどうするのですか?」
僕たちはジョーイさんに各々疑問をぶつける。
「やっぱり皆疑問はあるよね。
まず1つ目の疑問を解決するのに‥‥ジャーン!車イスを用意したわ。」
部屋の奥からラッキーが車イスを持ってきた。
「ありがとう、ラッキー。
じゃあヒノアラシ君、後ろの足を伸ばして乗せて。そしたら、あとは固定して‥完了!」
「何か慣れないなあ。」
不自然な足の感覚があるみたい。
「でも、こうすれば自由に動けるから文句は言わないよ。ありがとう、ジョーイさん。」
あくまでもヒートは謙虚だなあ。僕尊敬しちゃう。
「そして2つ目。リハビリは全国のポケモンセンターにお願いしたわ。リハビリの計画としては、大体1週間間隔で行いたいから、大体1週間たったら近くのポケモンセンターに行くっていうパターンをとりましょう。いいわね?」
『はい!』
「それじゃあ‥‥‥退院!」
あっ。退院許可ってこんな感じなんだ。
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「改めてイケブクロに向けて‥」
『出発!』
再び僕たちは旅を開始した。
ヒートが歩きにくそうだから、僕たちがしっかり助けてあげよう。
「しかしまあ、退院できて良かったなヒート。」
ピースがヒートに声をかける。
それにしても。始めはピースのその姿にビビっていたヒートも、今はすっかり仲良しだ。
そういえばヒートは僕たちにもすっかり打ち解けているなあ。
そんなことを考えながら歩いていたら、景色が住宅街から街に変わった。
【トレーナーの町】シブヤに着いたようだ。
「シブヤかあ。久しぶりだなあ。」
ブイがしみじみと言うもんだから、僕は「クスッ」と笑ってしまった。だって、言い方が親父くさかったんだもん。
「何?何か可笑しい?」
「いや、ブイにもオッサンみたいなところがあるんだなって思って‥ってあれ?」
「どうしたの?」
「ヒートとピースがいない‥!」
「えぇっ!?」
これはマズイ。急いで探さなきゃ‥
「OK コウキ。手分けして探そう。」
「待った。これで僕たちもはぐれたらおわりだよ。どう連絡をとるの?」
「それはだね‥」
ブイが説明しようとしたとき。
「テメェふざけんじゃねえぞ!!」
大きな声がした。何となくだが、二人ともいる気がする。
「ブイ!」
「うん!行ってみよう。」
声のする方へ僕たちは駆け出した。