03
『お、弟?』
衝撃の告白に、僕たちはどうすれば良いのかわからなかった。
「あっ。誤解を招くかな。
勿論本当の弟じゃない。ユウキがもらった卵を孵してうまれたんだ。だから、ヒートが小さい時からずっと一緒だった。本当の兄の様に慕ってくれたから、僕も弟として接していたんだ。だから、情が厚くなっちゃって‥」
そういうことか。
全力で護ってあげられる家族か。僕もできているのかなあ。
そんなことをふと考えた時。
「‥うぅ。うあぁ。」
うめき声をあげながら、ヒートが体を起こそうとしてるではないか!
「おい!ヒートが目覚めたぞ!俺、ジョーイさん呼んでくる!」
ピースが部屋を出た。
「ヒート、分かる?僕だよ、ブイだよ!」
「‥‥お兄ちゃん‥‥ブイお兄ちゃん‥‥?」
「そうだよ!分かる?」
「‥‥お兄ちゃん!!!」
余程嬉しいんだろう。ヒートがブイに抱きつこうとした。が、
「危ない!」
骨折した右の後ろ足で踏ん張れなかったのだろう。すぐにバランスを崩し、ベッドから落ちそうになる。僕は咄嗟にベッドの下に体を入れた。
「ほいっと」
ふ〜間に合った。
ヒートは僕のお腹の上に落ちた。でも、足に影響は
なさそうだ。とりあえず一安心。
「あ‥ありがとう‥」
「ほら、ちゃんと挨拶しなきゃ。ごめんね、コウキ。ヒートは恥ずかしがりやでね‥」
ブイはすっかり兄貴面だ。
それにしてもいいなあ。ヒートの凄く嬉しそうな顔。久しぶりに会えてそんなに幸せなんだね。
「お待たせしました。ヒノアラシ君、体調はどう?」
「うーん。体調はそこまで悪くないかなあ。あ、でも、足はまだ痛い。」
「わかったわ。じゃあ悪いけど、これから点滴ね。栄養を摂ろうしても、まだうまく物を食べられないよね。」
「うん。」
ちょっと嫌そうな顔をしたが、しょうがないと思ったのだろう。すぐに点滴は始まった。
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点滴の間も兄弟は再会の感動の余韻に浸っていた。
「で、そのあとコウキったら『朝御飯まで寝かせて‥』とか言い出すんだから、《でんこうせっか》をおみまいしたよ。」
今朝のことのようだ。凄く恥ずかしい‥
「お兄ちゃん達、楽しそうだね!」
「まあね。そうだ!ヒート、一緒にたびをしようよ!」
「うん、したい!でもね‥」
すると、首から下げている赤い石をみた。
「僕の相棒にわかってもらわなきゃ‥」
「あれ?これって‥」
僕もポケットから蒼い石を取り出す。
ブイも首輪についている蒼い石をみた。
「ヒート、ひょっとして‥」
「うん。僕は『赤の戦士』」
「あ、あと6人いるって言ってた‥」
「そのうちの一人だよ。」
なるほどね。
「‥コウキみたいにわかってくれなかったのか。」
ブイが声のトーンをさげる。
「気にしちゃダメだよ。ニンゲンにも色々なタイプの人が居るんだよ。大丈夫。心から全力で訴えたらわかってくれるさ。」
僕は頑張ってフォローを入れたつもりだった。それが正しいのかも、ヒートに通じたのかもわからないが、信じてくれるよ!きっと。
「コウキの言う通りだぜ。正直俺はよくわからんが、何でも気持ちは大切だぞ。」
ピースがさらにフォローを入れてくれた。いやぁ、助かった〜
「まあ、まずはケガを治すことが大切だね。僕たちも治るまで一緒に居るよ。」
「ありがとう、お兄ちゃん!」
ぐ〜〜〜〜〜っ!
「あれ?」
「あっ。そう言えばお腹減ったな。」
「よし!皆でご飯にしよう!」
こうして、ヒートを交えた4人の日々が始まった。