03
「‥‥右だね。」
(その次の角は左だ。)
僕も感じる。体中にまとわりつくような違和感。こんな環境でも、ブイは嫌な顔一つせず(と言っても今は僕とブイは一つの体だから見えないけど)歩みを進める。
T字路を左に曲がり、真っすぐ行ったところに広場がある。その広場に‥
「あれだ!」
いつだったかの《レッドシステム》同様、黄色い石を中心とした半球状にバリアが張られている。そのバリアの中には、ピカチュウ・パチリス・エモンガ‥他にも多くのでんきタイプのポケモンが閉じ込められていた。
(今助けてやるからな!相棒!!)
「相棒言うな!とっ込んで行くぜ!」
『《でんこうせっか》!』
トップスピードでバリアに突っ込んでいく!が‥
「んぐ!こないだよりバリアが強い‥」
(ならパワーアップだ!行くぜ相棒!)
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!』
《でんこうせっか》のパワーアップ!体力の消耗は半端ないけど、押し込んでいる感覚は良く分かる。
『イケるぞ!』
誰もがそう思った瞬間だった。
「《10まんボルト》!」
『!?』
どこからか《10まんボルト》がバリアに向けて放たれた。そのエネルギーをバリアは吸収して、僕たちを強く押し返す。
『ぐはっ!』
僕たちは弾き返され、地面に叩きつけられる。刹那、シンクロを解除してしまった。
☆★☆★☆★☆★☆
「イタタタタ‥。くそっ!また奴らか?」
「どうやら僕たちはバリアの中に閉じ込められたみたいだね。」
そのようだった。周りを見渡すと、でんきタイプのポケモンが僕たちのことを心配そうな目で見る。
「二人とも大丈夫ですか?」
声を掛けてくれたのはプラスルとマイナン。
「驚いたよ。あのレントラーが《10まんボルト》を撃った瞬間、このバリアが突然大きく‥‥」
「ちょっと待って!」
マイナンの言葉を遮る。
「マイナン、今レントラーって言った!?」
「う、うん。あれはレントラーだったよ。っていうか何で僕の言葉が分かるの!?」
「ちょっと事情があってね。で、そのレントラーはどこに?」
「あ、あっちです!着いて来て下さい!」
プラスルが駆け出す。僕とブイとマイナンも後からついていく。
バリア内を半周程進んだところ。そこに居たのは、身体中傷だらけのレオだった。
『レオっ!?』
とりあえず首元に手を当ててみる。呼吸はある様だ。
「えっと‥プラスル、マイナン。多分さっきのところにバックを置いてあったと思うから、持ってきてくれないかい?」
『了解!』
「ブイはあっちにオレンのみが植わってたはずだ。それを採ってきて!」
「わかった!」
僕は手当てをする事にした。以前、オルがブイに手当てをしていたのを僕は覚えている。その時よりも怪我は軽い(と言っても中々重傷だが)。
「持って来ましたよ!」
「これでいい?」
プラスルとマイナンが僕のリュックサックを持ってきてくれた。
「僕も持ってきたよ!」
ブイがエレキッドとライチュウに手伝って貰いながらオレンのみを持ってきてくれた。
「ありがとう。‥‥始めるよ。」
☆★☆★☆★☆★☆★☆
皆に手伝って貰いながらレオの治療を進めていく。
治療を始めてから大体45分だろうか?僕の目の前には包帯でぐるぐる巻きのレオの姿。オルには悪いが口からオレンのみをすり潰した物を飲ませていたから、体力の消耗は抑えられたはず。
「フゥーッ!皆ありがとう。多分これで大丈夫。しばらくこのままにしておけば大丈夫だよ。それで‥」
改めて周りを見渡す。
「どうやってここを抜け出すかだね。」
「ねえねえコウキさん。これは一体何なんですか?わたし達の技が吸収されているような‥」
プー――プラスルの名前――が僕に尋ねる。確かに、この子達は良くわからないままに捕らえられたのだ。
「僕たちは外に出られるの?」
マー――マイナンの名前――も心配そうな目で尋ねる。
「プーも気付いてる通り、このバリアは君たちのでんき技を吸収してパワーアップしているんだ。ここから脱出する方法としては‥‥」
僕は核を指さした。
「あれに直接的な負荷をかけて破壊するんだ。」
「でんき技以外の方法でね。」
説明をし終えたときだった。
「コウキ、コウキ!」
バリアの外から声がする。
「ジュン!どうしてここが?」
「突然レオが走り出したんだよ。町中探し回ってここを見つけたんだ。で、一体これは何なんだ?」
「これは‥」
僕が説明しようとしたとき。
「
‥ンゲン‥‥ニンゲンめ!!!」
『レオっ!?』
レオが起き上がったかと思うと、身体中の鬣を電気で逆撫でて僕はとジュンに対し威嚇をした。