02
その夜。ポケモンセンターに移動した僕たち。シングルルームが3部屋空いていたから1人1部屋で泊まることにした。僕の部屋は僕とブイ。因みにピースはソウとヒートの特訓について行ったらしい。
「ねぇコウキ。」
ブイだ。
「レオがさ、僕にはすごく悲しそうな顔をしていたように見えたんだけど‥」
「ブイもそう思う?何だろ。ジュンが『よろしくな、相棒!』って言ったときに感じたんだけど、普通はそういう言葉を聞いたら安心するよね?」
「確かに。何かあったのかな?」
『うーん‥‥』
考えても拉致があかない、二人がそう思ったとき。
プルルルルルル‥‥
僕のケータイが鳴った。
「もしもし?」
「コウキか?俺だ、ソウだ。」
電話の相手はソウだった。
「お前さっきまで元の世界にいたそうだな。ピースから聞いたぞ。置いていかれたって。」
「別に置いていった訳じゃないけど‥。まあいいや。で、どうしたの?」
「おお、そうそう。帰ってきたってことは7人目の戦士を見つけたんだろ?1回皆で情報交換とかした方が良いんじゃねえかとか思って。」
確かに。ジュンを皆に紹介しておいた方が良いだろう。
「僕は賛成だよ。」
「そう来なくっちゃ!そしたら‥」
「ヒロヤの病室は?」
「だな。明後日にヒロヤの病室に集合でいこう。悪いがエリに伝えておいてくれ。」
そう言ってソウは一方的に電話を切った。
「どうしたの?」
今まで寝ていたブイが目を覚ました。
「ああ、ソウが1度皆で情報交換しようって。その時にジュンを皆に紹介しておこうと思ってね。ついでにレントラーとジュンの関係についても何とかなると思ったんだ。僕たちよりポケモンの扱いに慣れてる人がいると思って。」
「なるほどね。良いんじゃないかな?でも、別行動をとってから3日ぐらいしか経ってないけど‥」
「細かい事は気にしない気にしない!皆に伝えてくるね。」
僕はエリとジュンの部屋に行った。
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「どういう事ですか!?ヒロヤはもう退院したって‥。身体的にも精神的にもあれだけボロボロだったのにたった5日で退院させるなんて‥」
翌日、僕たちはヒロヤの入院している病院に来た。のだが、ヒロヤは時すでに退院したと言うのだ!
「5日?ヒロヤさんは2ヶ月間の入院生活を経て、3ヶ月前に退院なさりましたよ。」
‥‥‥。え、何?
「どうやらこの世界と他の世界では時間の経ち方が違うみたいだね。」
「じゃあもしそうだとしたらヒロヤは‥?」
この時、僕とブイの頭の中にはある1つの嫌な予感がよぎる。そして次の瞬間だった。
「街中のでんきタイプのポケモンがおかしいです!でんきタイプのポケモンのトレーナーはご注意ください!」
警察官が息切らしながら走って来た。
「ブイ。もしやこれって‥」
「多分そのもしやだよ!《イエローシステム》とかででんきタイプのポケモンを誘き寄せてるんだ!」
「こうしちゃいられない!行くよ!」
「待って!先にシンクロするから。」
シンクロする?何‥‥まさか!!
「そんな‥無茶だ!リスクが大きすぎる!!」
「僕を信じて!」
この時のブイの目は真剣だった。
「‥わかった。だけど無茶だけはしないで。」
コクンとブイが頷く。
「ユウキ、仕事だぞ。」
――全く‥。ギャンブル過ぎるぞ。まあ、俺そういうの好きだから何とも言えないがな。
そうこう話している間に病院の裏に移動した。
『うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』
僕とブイはシンクロした。サンダースになって。
(うっ!ヤバイ、この感覚‥。)
「大丈夫?」
(なーに。オイラはこんなんじゃへこたれないぜ!行くぞ相棒!こっちだ。)
「相棒言うな!」
ブイに引っ張られる様に、変な感覚がする方向に走り出した。