01
「へえ、そうなんだ!良かったね!」
翌朝。通学の電車のなかでエリに昨日の夜の出来事を話す。
「それで今日はブイを置いてきたのか。」
オルが僕に聞いた。
「うん。ジュンを一人にするの不安だしね。」
「でも学校は?」
「聞くと大阪に住んでたらしい。何で遠路はるばる横浜までやって来たのかはわからないけど。それに‥」
「それに?」
一時的な記憶喪失。これがどうしても引っ掛かる。そう。今
イケブクロで一人で苦しんでるアイツみたいに。
「コウ君もやっぱり気になるの?」
エリにはお見通しのようだ。
「まさかこの世界まで《
宇宙の民》が出てくるとは思わないけど‥」
「そのまさかが怖いんだがな。」
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放課後。エリは部活の為、僕とオルの二人で家に向かう。
「ただいま〜」
「お帰り〜」
ん?ブイの声しか聞こえない。
「あれ?ジュンは?」
「コンビニにジュース買いに行くってさ。暫く前に出掛けたからもうそろそろ帰って来るよ。」
そう言ってブイは再びマンガを読み始めた。
それなら大丈夫か、と思って僕は制服から着替えに自分の部屋に向かう。
「馬鹿者っ!」
僕とブイの体たらくっぷりに呆れたのか 、オルが叫ぶ。その声が余りにデカイからかなりビビった。
「お前が何のために今日残ったか考えろ。」
「僕が何のために‥あっ!」
「わかったらさっさと行くぞ。何かあぶない予感がする。」
僕たちは家を飛び出した。
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家から近くのコンビニには大体5分くらいで着く。
――なあ、何か引っ掛からねえか?
ユウキだ。
「うん。ユウキもそう思う?」
――ああ。
俺の相棒がそんなヘマすると思うか?
「
僕の相棒が行う行動としては信じがたい。」
――だろ?一体アイツは何なんだ‥?ちょっと代わるぞ。
「えっ!?」
強引にユウキは僕と入れ替わる。
「オイ!」
人通りのない路地裏に差し掛かったところでユウキは叫んだ。
「‥お前、ブイじゃねえだろ。オルも気づいてんだろ?」
「当たり前だ。テメエ、今すぐその化けの皮を脱ぎ捨てろ!」
路地裏の行き止まりまで追い詰めた。
「流石は《波動の勇者》。よく分かったな。」
背後から聞き覚えのある声がした。そう。この世界にいてはならない人物の声が‥。