第七章 ジュン
03
レックウザにジュンの写真を渡されたとき、僕は父さんと母さんの事を思い出した。

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父さんと母さんは警察官だった。正義感が強くて、まるで警察官の鏡のようだった。
二人とも『街のお巡りさん』として交番に勤務していた。持ち前の正義感で街を守っていた。近所の評判もよく、警視総監から表彰されるほどに素晴らしい警察官だった。そんな二人の事が僕たちは誇りだったし、大好きだった。そんな二人が僕たちの前から、そしてこの世から消えるなんて思ってもみなかった。
それはある夏の日。二人は暴力団の捜査で組合本部に向かった。
今回の容疑は誘拐。身代金目的で8歳の資産家の息子を誘拐したのだ。事件が発生したのは二人の管轄の街。しかも、この街の子供たちは皆二人の事を慕っていた。更に持ち前の正義感が助けて、『お巡りさん』も無理を言って捜査に加わったのだ。
今回犯行を企てた暴力団グループは特に過激派で、刑事ドラマで見る取り引きも意味を成さなかった。そして二人がとった手段は‥強行突破だった。
二人は建物に突入し、子供は救出した。しかし、子供を他の捜査員に引き渡した次の瞬間!
ズドン!!!
銃声が響き渡ったと思うと、そこに父さんと母さんは血を流して倒れていた。救急車が来たときにはもう息をしていなかった。

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そのとき一緒に捜査をしていた警察官の方から葬式の時に聞いた話だ。
最後まで警察官の職務をまっとうしようとした二人らしい死に方だった。でも‥僕たちの心にはぽっかりと穴が空いた。最後まで二人の死を認めたくなかったのは僕たちだったかもしれない。
家族を失う辛さを僕は知っている。これは僕のわがままかもしれないが、ジュンには死んで欲しくない。いつかまた会えるかもしれない大切な家族の死に行く姿を見たくないというのもあったが。
「ねえ、コウキ。」
ブイが僕に話し掛けてきた。
「もし、独りになりたくない、ジュンを死なせたくない、って考えてるならさ、じゃあ何でコウキは死ぬかも知れない事をしようとしているの?」
「それは‥世界を守りたいから‥」
「じゃあさ、仮に世界を守れたとしよう。でも、それと引き換えにコウキは命を落とした。まるでユウキみたいに。そしたらジュンはどうなる?」
「‥今度はアイツだけが独りになる。」
そうか。僕は今まで『自分が独りになりたくない』って考えてた。でも、それは違う。ジュンだって独りになりたくない。それなのに僕は‥
「二人で世界を守れば良いんじゃないかな?二人で生きて帰るんだよ!」
「‥うん!そうだね!」
「心は決まったみたいね。」
「よし。これよりお主らを一時的にもとの世界に戻す。準備は良いな?」
『はい!!』
「いい返事だ。それでは行くぞ。」
レックウザが言うと、僕とエリの石が放った光に包まれた。そして、僕がこっちの世界に来たときの様に何かに引っ張られる感覚を感じた‥。

ぎゃおす ( 2013/04/27(土) 22:25 )