ジムリーダーのサトル
2話
「プラスル、サトシ達と遊んできな。俺は仕事に行ってくるから」
「プラ?プラッ!」
むっ、今日は頑固だな。まあ良いか、別に困る事ないし。
…あっ、どうも皆さん。アローラ地方に着きサトシと母さん達がバカンスを楽しんでる間に仕事をしないといけないサトルです。…仕事を…しないといけない…サトルです…
取り敢えず、俺のボーマンダのボーさんをライドポケモンとして登録しないといけないみたいだ。…【そらをとぶ】が禁止とか聞いてないぞ。俺は母さんに一言、先にスクールに行くと告げ、ハウオリシティの役所でボーさんを登録、ポケモンスクールの場所を聞きボーさんに乗せてもらって飛ぶ。
「ボーさん、アローラの空はどうだ?」
「マンダァ!!」
「ははっ!そうか、気持ちいいか!俺もだよ。ん、あれだな?ボーさん頼んだ!」
ボーさんはスクールより少し離れた場所に降りる。俺が指示しなくても分かってくれるボーさん流石っす。
「ありがとうボーさん。今度もっと飛ぼうな」
俺はボーさんをボールに戻しスクールに向かって歩く。
「お〜結構敷地広いな〜 これは迷いそうだな、遊びすぎて場所がわからないとかやめろよプラスル?」
「プラプラァ」
するわけねえじゃん、みたいな視線を送っているプラスル。
「お前ホント小生意気になったよな。誰に似たんだ?…ってまあ俺しかいないか。全く、このやろ〜」
「プラッ、プラプラァ♪」
2人仲良くじゃれ合いながら歩いていると、校長室にたどり着いた。
「ここで良いのか?…大丈夫そうだな。んっん… さて、行きましょうかプラスル」
「…プラァ」
俺は口調と声のトーンを変える。所謂、仕事モードってやつだな。ジムリーダー就任後に練習してこうするようになったが、プラスルは気持ち悪いらしい。…俺だってそう思うよ。
コンコン…
「失礼します。この度、ポケモン協会本部より《《教師》》として出向してきました。ジムリーダー、サトルです」
「おお!よく来てくれたね!さあ、入ってくれ」
オーキド博士によく似た声。この人が博士の従兄弟さんか。博士によるとポケモンギャグが好きで、語尾にポケモンの名前を入れるそうだが、本当か?
「失礼いたします。貴方がオーキド・ユキナリ博士の従兄弟のナリヤ・オーキド校長で間違いないでしょうか?」
初対面からこの言い方は間違っていると思うが、敬語は付け焼き刃なんだ…
「うむ、ナリヤ・オーキドだ。アローラ!!これからよろしく頼ムンナ!」
「おっ、噂のポケモンギャグですね。こちらこそ、よろしくお願いします。…申し訳ありません、アローラとは?」
これは…ギャグと言えるのだろうか。小説じゃ伝わらないけど、顔もそのポケモンに似せている。色んなポケモンを知ってないと出来ないな。アローラ?前世でいうアロハ、みたいなもんか?
「アローラ、というのはじゃな、この地方の挨拶なんじゃよ。だいたいどの時間帯でも使うから覚えている方が良いゾロアーク!」
「おお、そうだ!ユキナリからポケモンの卵を預かってないか?」
「それでしたら、一緒に来た私の弟と母が持っているはずです」
え、博士から連絡行ってないんですの?
「おお!そういえばそうじゃったの、忘れておった。ごめんネンドール!」
「いえ、こちらこそそのまま持ってくればよかったのですがライドポケモンで来たものですから、割れないか心配でして」
ボケたか、と一瞬思ったのは秘密だ。だからプラスル、そんな目でこちらを見るな。
「まあ、気長に待っていようか。そろそろククイ博士も来るはずだからのう…」
「オーキド校長、遅くなってすいません」
む?
「噂をすればじゃな。ククイ博士、よく来てくれたのう」
「いやいや〜、ちょうど休憩時間なので。それで…そちらの子は?」
グラサン薄いな〜。こちらからでも博士の目が見える。
「お初にお目にかかります。この度ククイ博士からの依頼でポケモン協会本部より派遣されました。ジムリーダー、サトルと申します。アローラ地方でのポケモンリーグ建設をお手伝いさせていただきます」
「お、おう。そんなにかしこまらないでくれ。いや、年と立場を考えたら正しいのか?」
いや、俺のは年不相応だから博士が正しいっすよ。
「いえ、今はジムリーダーとしての仕事中ですのでこういう口調にしているだけですので普段はもっと砕けた感じです」
「そうなのか?まあよろしくサトル。そういえば教師としてもここでやってくれるって聞いたんだけど…免許はあるのか?」
フッフッフ…
「はい、年齢的にまだ正式免許は取れないので仮免許ですが、教育職に就くための必修事項はすでに履修済みですのでご心配なく」
「それは頼もしいな!…だったら話は早い。職員室に案内しよう!」
職員室…前世じゃ恐怖の対象でしかなかったんだがな…
「………ふうぅ。ありがとうございますククイ博士。プラスル!移動するぞ、戻ってこ〜い!」
「プラッ!!」
隅っこの方でえっと…ネッコアラだっけ?と遊んでたプラスルを呼び戻す。
相変わらず頭に飛び乗ってくるんだが、髪留めに刺さりそうで怖いから肩にして欲しいんだが…ピカチュウと被るからヤダそうだ。そこは気にするのね…
「じゃあ校長先生、失礼します」
「スクールでの生活、楽しんでくレントラー!」
バッチリ決めていく校長。俺達とククイ博士は廊下を歩きながら話している。
「そういえばそのプラスル、色違いのプラスルか?」
「流石ですね博士。そうなんです、全体的に色が濃くなっただけに見えるんで色違いだと思われないんですよ」
このおかげで変ないざこざも起きなかったしな〜
「色違いのポケモンか… 苦労したんだろうな」
「……はい。まあ、色々ありましたんで。今度話しますよ」
「っ!…ああ、もちろん。それにしてもサトル、その口調の方が接しやすいぞ。生徒達と接するときはそっちにしてくれな」
まあ、そうだよな〜
「そうです?まあ、もともとさっきのは過剰でしたし、しませんよ」
そして職員室に着いた。
「それじゃあ、今日からよろしくな。サトル先生!」
「うっわぁ…むず痒い…」
「ハハッ、まあ慣れだよ」
先生か…このスクールに通う生徒が大体10歳前後だから…小学生くらいか。
「さてと、じゃあ行くか」
「え、行くってどこに?」
「教室だよ。俺が担当してる生徒達との顔合わせだな。個性的な生徒達ばっかりで、きっとサトルもすぐ馴染めるさ」
そうだと良いんだけどなぁ… このくらいの子って難しいからなぁ…
「そうですね、まあ頑張ってみます。プラスルも手伝ってな?」
「プラァ!!」
流石俺の相棒。最初の印象で俺よりコイツの方が人気でそうだけど大丈夫か…?
「ん、あれは…マオか。それと隣にいるのは…」
…ん?あっ、アイツ。
「サトシとピカチュウです。俺の弟で、旅行でアローラに来てるんですよ」
母さんと一緒じゃないのか?
「お2人さん。アローラ!」
行動はやっ!?ちょっ、俺も行かないと…
「ククイ博士!」
「博士?」
「私たちの先生よ!」
あの子、マオって言ったか?…ムーンの時に試練を与えるキャラでいたような…?あっ、ラランテスの… うっ…頭が…
「博士、この子はサトシ!」
「オーキド校長から聞いたよ。もう1人からもな。サトシ、ピカチュウ、ポケモンスクールは良いところだぞ。今日だけでも、楽しんでいってくれ」
「はい!」
「ピカァ!!」
……どうしよう、完全に出るタイミング失った。
「ん?」
「あれは…?」
えっちょっ…ここからじゃよく見えない…
「行ってみよう!」
「あっ、サトシ!」
「2人とも待てって!」
えー…3人とも行ってしまった…
「一体何が…ん…?」
あれは…ムーンにもいたな。スカル団だっけ?見た目と行動が完全にチンピラだった奴ら。
「おいおい、1人3体も出すのかよ…あれは?遠くて見えにくいな… えーと、ズバッとに…ヤングースとヤトウモリか」
真っ黒に焼けた肌の少年…ガラガラダンスの試練の人じゃね?てことは…
あっ…、みずタイプとでんきタイプの試練の人もいる。リーリエもじゃないか。…いや、本当に個性的だなククイ博士。これは退屈しないわ。
「プラ、プラ!!」
「ん?どうしたプラスル…って、うお!?」
「ダイナミック…フルフレイム!!!!!!」
巨大すぎる炎がスカル団とそのポケモン達を包み込む。……恐ろし!?ゲンシカイオーガの強い雨でも使えるんじゃねえの…?Zワザヤベェ…リアルに見ると特にな。なんで周りの地形変わらないのだろうか…
「んっ、あれは!?プラスル来い!!」
「プラ?…プラ!!」
「ボーさん…レッツゴー!!」
俺はすぐにボーさんを出し共に飛ぶ。何が起こったのか説明すると、あのチンピラ共のポケモン、もう一体ずついたらしくこっそりと奇襲を狙っていた。
「ボーさん、【かえんほうしゃ】!!三体まとめて薙ぎ払え!!」
「ボゥ…マンダァァァァ!!!」
「ヤト?…ヤトォォォ!?!?」
唯一ヤトウモリだけが気付けたようだがもう遅い。ボーさんの炎が三体を包み…爆ぜた。
「ナイスだボーさん。タイミング完璧だったぞ〜」
「マァンダ〜♪」
頭を撫でてやると気持ち良さそうな声をする。…おっと、みんながこっちみてるな。
「ボーさん、降りてくれ。今度ご褒美やるからな〜」
「マンダ!?マンダァァァァ!!」
「ヒィ!?ボ、ボーマンダでヤンす!?兄貴、逃げた方がいっすよ!!」
3人組はすべてのポケモンを戻し、バイクに乗って逃げていった。
……ダセェな。
「大丈夫か2人とも?全く、ちゃんと周りを見てから勝利を確信しろ」
「…………」
……ん?何この雰囲気。
「「「「「誰?」」」」」
「兄ちゃん!!どうしてここに?」
「「「「「兄ちゃん!?」」」」」
あ〜、そっか。そりゃあ知らない人が突然空から降ってきたらビビるか。
「アローラ、皆さん。サトシの兄です。お見知り置きを」