サトシの帰還、アローラへの0歩目
1話
ポケットモンスター、縮めて、ポケモン。詳しくはポケモン協会のホームページを見てくれたら俺の説明よりよく分かると思う。
しっかりと自分の所属組織の宣伝をしていくのはポイントが高いな!ウンウン…
「プラ?」
「ん、ああ、ごめんごめんプラスル。ちゃんと紹介するから」
さてと改めまして、皆さん初めまして!俺はサトル、ポケモントレーナーだ。
突然だが俺には日本という国で生まれ育ち、死んだ魚のような目で高校生やってた記憶がある。俗に言う転生者って奴だな。…そうだから別にどうって事はないんだが、一番ビックリしたのはこの世界、自己紹介で分かったと思うけどポケモンワールドなんだぜ?
…もっとビックリしたのがよりによって俺はアニメのポケモンの主人公、サトシの兄貴で俗に言うマサラ人だったって事だ。
いやいや俺の事は良いんだ。まあ聞いてくれよ。いや〜赤ん坊の頃のサトシは可愛かったんだぞ〜。なんかその頃からやんちゃっぽいところが出ててな。それなのに家族には甘えたがりでな〜。成長していくごとにそれが増していってな。俺とサトシは5歳差で俺が旅に出た10歳の頃…まあ5年前か。キラキラした目で旅に出る俺のことを見送ってくれたな。ついつい頭を撫でてしまったぜ!
「プラァ!!」
「いったぁ!?プラスル、ごめんって…」
今しがた俺に【でんじは】を浴びせて来たのが俺の最初のポケモンで相棒のプラスルだ。…え?サトシのピカチュウと被るって?バカッ、俺の自慢の相棒にケチつけてんじゃないよ。これでもうちの濃い面子の中で素の能力、個体値だっけ?それ抜きにしても1番実力がある。しかもウチのプラスルはな、ちょっとわかりにくいけど色違いなんだ。まあ全体的に色が濃くなったって感じだな。
これまでジム戦やコンテストとか、いろんな場所で活躍して来た俺の自慢のポケモンだ。
「プラ♪」
こらこら、頬ずりして来ない。全く可愛いなお前〜。…【ほっぺすりすり】覚えさせて無くてマジでよかった。
ん〜、ほかに言うべき事は… あっ、俺、ジムリーダーやってます。世間一般で認知されてるジムリーダーとは違って、ジムは持ってないんだけどな。正確に言うと…ジムリーダー資格を持ってるって言った方が正しいな。一応ゴーストタイプを専門にしてる。ポケモン?まあまあ、今はいいじゃないか。今の俺はマサラタウンのサトルだからな。
「サトル〜、降りてらっしゃ〜い。そろそろサトシが帰ってくる頃よ〜!」
んっ、母さんの声だ。俺はカントーのポケモン協会本部でジムリーダー資格を取り、色んな人の元で修行した後実家に帰って来ている。この事はサトシには言ってないし、言うつもりもまだない。サプライズって大事だろ?さて、降りないとな。
あっ、そうだ。サトシが帰ってくるっていうのはな、今サトシはカロス地方に行っててそろそろ帰ってくるって連絡があったんだ。…前世でアニメを見てた身としては、こんなのどかな日が続いてた時にカロス地方ではジガルデやらなんやらで凄い危機が迫ってたっていうのが信じられない。アニポケはカロスで見るのをやめた。…こう…個人的に…個人的にね?作画がちょっと…
正直加勢に行きたかったけど、ジムリーダー資格を取る勉強をしてたからな。すまないサトシ…カロスリーグも応援に行けなかった俺を許してくれ… ちゃんと録画をお前の知り合いに布教………配りに行ったから。タケシさんとかカスミさんとか…あっデントさんにもだな。ジムリーダーしか渡してねぇ…。
「プラプラ?プラァ!!」
「ああ、行くから待てって!ちょっ、プラスル、髪留め持っていかないでくれる!?その髪留め無いと、俺のアホ毛が自己主張激しいから返して!!」
髪留め型のキーストーンを俺から奪ったプラスルをおいかけて、ドタドタと一階に降りる。
「ちょっとサトル!!サトシが帰ってくるのが嬉しいのは分かるけど、もう少し落ち着きなさい。もう15でしょう?ねえ、バリちゃん?」
「バリ、バリバリ!」
うんうん、その通りだ。とでも言いたげな母さんのバリヤード(普段はバリさんと呼ぶ)。…お前まで敵に回ったら勝てねえじゃねえか…
「ごめん母さん。ほら、プラスルも早く返してくれ。ちゃんと降りただろ?」
「プラァ…プラッ」
仕方ねえなっ、みたいな顔やめろプラスル。大衆に見せられないような腹立つ顔してんじゃないよ。また、頬をぷにるぞ?
「全く… 母さん俺、ちょっと洗面台行ってくる。癖毛が…また自己主張が激しい…」
「あら、またなの?すぐ戻って来なさいよ。貴方もサトシみたいに帽子かぶってみたら?」
「前にそれやって癖毛が帽子貫通しただろ?この髪留めで直るのも奇跡なんだから」
おかしなことを口走ってるように聞こえるかもしれないが、俺のアホ毛にスーパーマサラ人としての力が詰まってるんじゃないのか?ってレベルで強い。
え〜、ここをこうして…ちょっ、落ち着け俺の髪よ。大人しくお縄…じゃなくて髪留めに着くんだ。
「たっだいま〜!!」
「ピッカピッカァ!!」
やっべ、サトシ帰ってきた。早く直さないと…
「プラッ!!プラプラァ!!」
あっ!!あの裏切り者、抜け駆けしやがった!クッソ… 今度俺のフルメンバーVSプラスルでバトルさせよう。…いや、プラスル勝つな〜、まあいいか。サトシよ、待っててくれ。兄ちゃんすぐ行くからな!!
「あら、サトシ、ピカチュウ、お帰りなさい。今度の旅はどうだった?」
「すっごく楽しかったよママ!!それとね、見たことない色んなポケモン達と出会ったんだ!俺の新しい仲間も出来たし、早く紹介したいよ!!」
「ピカァ!!ピカピカ、ピッカ!!」
「そう、ずいぶん楽しんできたみたいね!とりあえず手を洗ってきなさい。それから、旅でのこと色々聞かせてほしいわ」
「は〜い。ピカチュウ、行こっか」
「プッラァ!!」
「あっ!プラスルじゃないか、久しぶり〜!…てことは兄ちゃんいるのか!?」
母さん!?俺が洗面台にいるの知っててサトシを呼びやがったな!?………あっ、直った。
……よし!
「おうサトシ、お帰り!ピカチュウも元気にしてたか〜?」
「ピッカァ!!」
「兄ちゃんただいま!!兄ちゃんも帰ってきてたんだ」
おお、我が弟よ。やはりカロス帰りはまた一段と男らしくなったな〜。
「まあな。まあサトシ、取り敢えず行ってこい。ほらプラスル、サトシとピカチュウが動けないだろ?時間はたくさんあるんだから」
「プゥラァ………」
俺に対する対応と違いすぎませんかねぇ…
器用にサトシの肩から俺のそばまでやってきて手を差し出してきた。
「プラ」
「いや、今お菓子食べたら飯食えなくなるだろ。母さんの料理だぞ?」
「プラ!?……プラァ……」
プラスルの中でなかなかの葛藤があったらしい。10秒ほど腕を組みじっくり考えて、我慢を選んだ。
「明日のおやつは俺が作ってやるから。何が良い?」
「プラァ?……プラップラァ」
両手で四角形を描くプラスル。…え、ポロック?
「ポロックか?了解、きのみは…いつもので良いか。ボーさんもあれ好きだし」
今の手持ちのきのみで足りるか?……ちょっと足りないなぁ。あとで買いに行くか。
「ママ、兄ちゃん、お待たせ!!」
「ピッピカチュ」
戻ってきたサトシ。こらこらちゃんと手を拭きなさい。
「ピカチュウ〜、明日は俺がポロック作るからな〜。あっ、もちろんバリさんの分もあるぞ」
「ピカ!?ピッカァ!!」
「バリ?バリバリ〜♪」
おいおいそんなに期待されても困るぞ… ピカチュウ、踊り出すんじゃない。カロス地方でセレナちゃんに美味いポフレ作ってもらってただろ?
「サトシとピカチュウはお昼ご飯まだでしょ?サトルもまだだから、みんなで食べましょう」
「やったぁ!!久し振りのママの料理だ!!」
「ありがとう母さん。サトシ落ち着けって、料理は逃げないから」
その後、俺達は昼飯を食べながらサトシの話を聞いたりして時間を過ごした。
…夕方になる前に買い物に出た俺たちがバリさんが引いた福引でアローラ旅行券を当てたことは、まあ皆さん御察しの通りでしょう。
ちなみに旅行券は2枚だったためサトシと母さんが使い、俺は移動費をポケモン協会の経費で落とした。…元々アローラに行く依頼来てたからね?ジムリーダーとしては行くしかないでしょう。
依頼の内容?アローラ地方のポケモン博士であるククイ博士からポケモンリーグを作りたいという要望が来ていたので協会本部としては実習も兼ねて俺を代表としていかせたいらしい。俺が見て聞いて体験したことをデータとしてちょくちょく送るだけの簡単な仕事だ。行動に制限はないし、緩い。ムーンをプレイしていたので知っていたが、ジムがないのでそこを踏まえて俺の意見も送って欲しいとのこと。…島ごとの試練のクリアでいいと思うけどなぁ…
まあ、そういう訳で、また次回!!
…オーキド博士っぽいことしたほうがいいか?