旅立ち
終章 旅立ち
それからというもの、旅の準備は慌ただしかった。
新しい靴を買って、ハンカチやティッシュをリュックに詰めて。
そうこうしているうちに、シエルの心の中はだんだんとより高鳴っていった。
初めて会うポケモンに大自然の景色。想像するとわくわくが止まらなくて、夜も眠れなかった。

そして、ついに旅立ちの日。
シエルは胸が高鳴ってしまい、寝てられずに早起きをしていた。これから旅をするカロス地方に思いを馳せながら旅の支度を始める。
金髪のくせ毛を耳の下で2つに結び終わると、鏡を見る。
真っ白のシャツに青のラインの入った白のベスト。綺麗な青のミニスカートを履いて、白いアウターを着る。最後に青のリボンが巻かれたお気に入りの白いベレー帽を被り、真っ直ぐに前を向く。すると、青色の瞳がシエルを見返してきた。
その瞳は、期待と希望で爛々と輝いていた。

「……よし。」

「リゲル」とシエルが声をかけるとリゲルは待ってましたと言わんばかりにシエルのリュックを口でくわえ、シエルに持って来てくれる。「ありがと」と言うと嬉しいそうにリゲルはシエルの手に頬を擦りつけた。

「シエル、ちょっといいか?」

玄関の方からアグレの声がした。
シエルが向かうとアグレが手に何かを持っているのが見えた。

「ほら、旅を祝ってプレゼントだ」

そう行ってシエルに手渡したのはベルトポーチだった。しかも、モンスターボールがベルト部分に取り付けられる仕様になっている。そしてすでにそこには空のボールがセットされていた。

「わぁ、ありがとう!」

シエルはさっそく腰に巻き、空いている場所にリゲルのボールを取り付けた。

「おお、似合ってるじゃないか。……そのモンスターボールで野生のポケモンを仲間にするといい。」

「うん。」

そして、アグレの声が少しだけ小さくなる。

「気を付けてな」

「うん。」

「カゼ引くんじゃないぞ」

「うん。」

「忘れ物ないか?」

「もう、大丈夫だって。」

シエルが呆れた声を出すとアグレは笑いながら頭をかく。
少し寂しさが湧いてきて、シエルはそれを振り払うように声をだした。

「それじゃあ、行ってきます。」




■筆者メッセージ
次からシエルの旅がはじまります。
押し絵を入れようとしたらエラーばかり出てしまって断念しました……。
Yuuuuki ( 2015/11/16(月) 02:41 )