第一部
研究者とマスクと謎


あら、こんにちは


私はこの辺りのポケモンに関する研究をしています。

ここの近くで新しい古代遺跡があると聞いて訪れたのが一ヶ月前、この家は一応町の外れ

にあるのに、わざわざ来るのは余程の暇人位くらいだと思いますが?


………まぁいいでしょう、来たついでに私のお話でも聞いていきませんか?

つまらないかもしれないけれど、軽い暇つぶしということでね?



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皆さんは、『デスマス』というポケモンをご存知ですか?


デスマスはたましいポケモンという分類をされていて、0.5mの小さな体、その下には人

の顔の形をした黄金のマスクを付けています。


そして、そのマスクに今回私がお話したいテーマがあります。まずは、デスマスに関する

図鑑の説明文をいくつか見てもらいたいと思います。




『おはかに まいそうされた ひとの たましいが ポケモンに へんかした。しぬまえの きおくが のこっている。』



『もっている マスクは デスマスが にんげんだった ときの かお。たまに みつめては ないている。』







……………この説明文に書かれているように、デスマスは大昔に埋葬された人間の魂から生ま

れたと推測されています。


……………私はその実例を見たことがないのでなんとも言えませんが。

もし、その仮説が真実だったとしたら、デスマスの付けているマスクはポケモンに変化す

る前の人間の顔そのものということになります。

では、何故そのマスクは涙を流すのだろう?

何故マスクは涙を流しているのだろう?


……………気になりませんか?



私は、それについてとある仮説を立てました。


今までデスマスは、昔の王族の墓などの古代遺跡で発見されてきました。

その中には、当時処刑場として使われていたと思われる場所がいくつか見つかっています。

そして、そういう所には他の遺跡と比べて圧倒的にデスマスの生息数が多いことが今まで

の研究で分かっています。


昔の世界では、王族が独裁政治をすることも少なくありませんでした。

人間に限らず、生き物は上の立場に立ち、自由気ままに振舞っていると「いつか下の身分が自分に反抗してくるのではないか」ということを本能で感じ取り、心の奥底でそれを恐れるのです。





そうならないようにするために、皆さんはどうしますか?






そう、ここで先ほどの私の発言にもあった通り

『当時処刑場として使われていた場所がいくつか見つかっている』



昔の王族は、反抗してきた国民を見せしめに
処刑し、国民たちの反抗意識を潰そうとしました。

所謂『恐怖政治』を行ったのです。


外国だったらローマ帝国のネロ、


日本なら室町幕府の第六将軍 足利義教……………


と言った具合に、このような政治は歴史に名を残した大国もそうでない国でも行われてきました。





………………もう、気がついたことでしょう




そう、私の仮説はデスマスのマスクが泣いているのはそういった『恐怖政治』、つまり独裁者の身勝手な政策の犠牲になってしまったことに関係しているのではないか、という事です。


もちろん、ただ昔の記憶を思い出したり、ただ泣いたように見えるだけかも知れません。



ただ、一つだけ言えることはデスマスというポケモンは確かにこの世界には存在している事です。


彼らも、
そして私達も、
この世界に確かにいるのです。


今回のお話についても、いつか真実が見えてくるかもしれません。私達にはそれがいつなのかは全く検討がつきませんがね。


それに、世界にはまだまだ謎というベールに包まれている事が数多くあります。それを追いかけてみるのも悪くないと思いませんか?


私はこれからもそれを追求して行きます。


これまでも、これからも

余すことなく追い求めていきましょう








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それでは、私はこれからその謎に向かいますのでここで失礼します。

私の拙いお話に付き合って下さってありがとうございました。

面白かった?

それはそれは、嬉しい限りです


…………………………?


え? 私の名前ですか?


………………………?


ふふっ、私は只の研究者ですよ?

そこに名前も何も無いです。

そこに謎があって、それを追いかけるだけなのですから。


……………………………………?………………………?





………………………そこまで教えて欲しいんですか?まぁ、それもあなたにとっては謎の一つでしょうから。分かりました。


では耳を拝借して 、

私の名前は『…………』……………………です。





もう2度目は言いませんよ?




それでは、どこかで会えたら………………



きっと謎が私達を巡り合わせるでしょう









では、今度こそ本当に

失礼します…………………………



織田秀吉 ( 2017/07/30(日) 16:04 )