夜 〜ライガの場合〜
sideライガ
今日は大変だったな...なんてったって初めてのお尋ねもの依頼で成功したんだもんな...それに、フィーアも仲間になって、結局は9割没収だったけどな...
「やべ...」
ライガはずっと考え事をしていた為か、眠れなくなっていた。ふと周りを見ると、シーアがすやすやと眠っている。しかし、その隣にいるはずのフィーアがいなかった。
「どっか行ったのか...?」
誰に言うでもなくそう呟いたライガは、ギルドを出て行った。
「ちょっとぶらつくか...」
その後、ギルドの入り口から鳥の鳴き声と共にまばゆい光が漏れ出ていたと言う。
「...のね...やっ...会えたの...」
海岸につくと、誰かが話をしていた。ライガにはこの声の主が誰か、薄々ではあるが確信を持っていた。気付かれないようそっと近寄ろうとした時、パキリという不吉な音を聞いた。そう。枝を踏んでしまったのだ。その音でフィーアはこちらに気が付いた。もう無駄だと思い、ライガはフィーアの前へ行って声をかけた。
「フィーア?何してるんだ?」
何も答えられず、固まっているフィーアにライガは更に質問した。
「会えたって誰の事だ?」
そんな言葉しか聞き取れなかったライガの問いは、フィーアの中の何かを切るには充分過ぎた。フィーアは彼女自身の言葉で、ライガを畳み掛けた。そして、フィーアは、
「ワタシは...絶対にアンタを認めない...シー姉...シーアを守るのは、ワタシだよ」
と、言い残しギルドへ戻った。
フィーア...あいつが何を言おうとしてたのかは分からない。でも、一つだけ、分かることがある。俺は、俺が大切なのは、シーア...あいつだけだ。じゃあ俺がするべき事ってなんなんだ?