ポケモン不思議のダンジョン 想いの探検隊 - chapter3めまい後新たな仲間
VS.ユメル
トゲトゲ山、山頂。そこには、向かい合う二人のポケモンが居た。一人はリル。もう一人は、ユメル。そう。シーアが夢で見た事が、ここで本当の事となっていたのだ。

「言う通りにすれば、すぐに返してやるから」

「いやだっ…」

リルは必死に逃げようとするが、すぐに捕まる。

「まったく…言う事を聞かないと、痛い目にあわせるぞっ!?」

「た、助けてっ!」

ユメルがリルに襲いかかる。が、しかし、そこへ声が聞こえてきた。

「待ちなさいっ!リルちゃんを放してっ!」

二人は声のする方を見た。そこにいたのは、シーア、ライガ、フィーアの三人だった。

「お尋ね者、ユメル!お前を捕まえに来た!」

「な、何故ここが…分かったんだ!?」

突然の事に驚くユメルだったが、その向かいに立っていたライガを見るなり、焦りをなくした様子で、

「…って、お前…もしかして…」

と呟いた。そう。ライガはこのお尋ね者、ユメルを前に震えていたのだ。

「はっ、お前ら新人なんだな?…いいだろう。捕まってやるよ…」

「えっ…?」

「お前らが俺に勝てるならなぁ!」

「……まれ」

「あぁ?聞こえねぇぜ?」

「…黙れ」

「なっ…お前、いつの間に…」

「お前みたいな最底辺のポケモンにいちいち怯えてられるかぁっ!!」

「ライガ!」

「すいませーんワタシ空気ー」

ライガの怯えはすっかり無くなり、全員が戦闘態勢にはいる。

―さあ、戦いの始まりだ―

「はさむ!」

先手をうったのはフィーア。しかし、ユメルは間一髪で避けた。

「くぅっ…やっぱりまだ…」

「行くぞ!電気ショック!」

次に技を出したのはライガ。ユメルの腕に直撃だった。だが、ユメルもやられっぱなしでは無かったようだ。

「クッ…催眠術!」

催眠術。特定の相手を眠らせる技だ。ユメルが向けたのは…

「なっ…」

黄色い体が静かに倒れる。ユメルはライガに催眠術を仕掛けたのだ。眠ってしまったライガへ、ユメルの激しい攻撃がはいる。

「ライガ!」

助けようとするシーアも、ユメルの念力で飛ばされてしまう。それは、フィーアも同じであった。

「このままじゃ…どうしよう…って、シーア?」

フィーアは呆気に取られた様子でシーアを見る。フィーアが不思議がるのも無理はなかった。何故なら、シーアの左目が薄桃色に輝いていたからだ。

「嘘…シーア…」

「電光石火っ!」

「えっ!?」

次の瞬間には、ライガは起き上がり、ユメルへと攻撃していたのだ。よく見ると、先程まであった傷も、目立たなくなっている。

(癒しの波動)

その場に居た殆どのポケモンがそう思ったが、本来ならチコリータは癒しの波動を覚えないはずなのだ。

「グラスミキサー!皆、もうすぐ倒せるんじゃないかな!?」

シーアの言葉で考えるのをやめ、三人で一斉攻撃を仕掛けた。

「はっぱカッター!」

「アイアンテール!」

「かみつく!」

「ぐわああああああああ!!!」

流石にユメルも耐え切れなかったのか、その場に倒れ込んだ。

「ユメルはワタシがどうにかするよ。それより、あのルリリを…」

「分かった」

シーアとライガはリルのもとへ駆け寄り、言葉をかける。

「大丈夫?」

「怪我はないか?」

その問いに、彼女は、

「うん!大丈夫!ありがとうございます!」

と答えた。ちょうど、フィーアがやって来て保安官さんに待ってもらっている、と聞いたので、ユメルを連れて山頂を後にした。



「コノタビハ、オタズネモノノタイホ、アリガトウゴザイマス」

「読みにくっ!漢字ぐらい使えないか?」

「コレカラモ、ゴ協力オ願イシマス!」

「話の分かるジバコイルはいいね」

「報酬ノ9000ポケデス」

「「………」」

シーア達がユメルを引き渡した横では、マルとボルトがリルと話していた。
「うわああん!お兄ちゃーん!」

「リル、大丈夫だったか?怪我はないか?」

「見たところ目立った傷はないよ。…それにしても、凄いね。二人は」

「う〜ん…まぁ、半分はフィーアのおかげかな」

「そうだな。だがとりあえずお前達の取り分だ」

「うわっ、いつから居たのペリル…」

「さあ?いつからだろうな?ホレ、900ポケだ」

「まだそんだけマシ」

そんなほのぼのムードの中で、フィーアがとある事を言ったのだった。


■筆者メッセージ
前の話との間で自己紹介してるはずです。三人は。
月光少女 ( 2015/05/31(日) 10:04 )