番外編!二人の理由
「くっ!…っあ!はぁ…はぁ…」
とある場所で、信乃は戦っていた。税を納められない農民達が反乱を起こしたのだ。
「お前が犬塚信乃か」
そう言って信乃の目の前に現れたのは、一人のポッタイシだった。
「…!貴方は…水河どの…そうですか。貴方がこの反乱の首謀者なんですね!」
「ああ。そうだ。唐突だが、二人で戦わせて貰いたい」
「…わかりました。ボクは、絶対に貴方を倒します!」
そう言った途端、水河は間合いを詰め、信乃の眼前に迫り、
「『翼で打つ』」
「なっ…」
速い…!追いつけない!でも…
信乃は飛ばされた場所から狙いを定めて、
「『火の粉』!」
効果は今ひとつだったが、そうとうなダメージを与えたのは一目で分かった。
「クッ…犬塚信乃…一つ問う。お前は、幕府が何をしているのか分かってこの戦に趣いて いるのか?」
「…いえ。ボクはそんな事、何も知りません。ただ…」
信乃が想うのはあの少女の事。
「守りたい人が、いるんです」水河はその言葉を聞くと、話を始めた。
「幕府は、農民から不要な税を取り立てている。私はそのことを知ってから、色々な事を 知ったんだ。お前の守りたい人、と言っている風蘭姫も、いつかは大変な事になる。そ れが嫌なら、この国から、逃げろ」
騒ぎはおさまりつつあったが、信乃は水河の言った言葉を信じ、屋敷へと走り去った。