番外編!二人の理由
ここは、極東に位置する、
如月国。
そこにある大きな屋敷で一人、修行に励むポケモンがいた。彼の名は犬塚信乃。生真面目なブースターだ。
「せいっ、とおっ!やあっ!」
「信乃、またお稽古?」
信乃が声のする方を振り向くと、そこには先程の声の主であろうチリーンが居た。
「ふ、風蘭様っ!お、お体は大丈夫なのですか?」
風蘭と呼ばれた彼女はコロコロと笑い、
「大丈夫だよ。まったく…信乃は心配しすぎ」
と言った。
「はぁ…すいません…」
すると、
《反乱発生!反乱発生!武士は直ちに現場へ!繰り返す。反乱…》
という、けたたましい大声が屋敷中に響いた。
「……では、ボクはこれで」
「行っちゃうの?」
そう風蘭が尋ねると、信乃は悲しげな顔をして、
「ええ。これが…ボクの仕事ですから…」
と言った。
「絶対、死なないでね!絶対、帰ってきてね!」その風蘭の言葉が、信乃の背中を押した。