ぼくの空
12.天空より
 その日、空から一筋の光が舞い降りた。
 光の中には、小さな生き物がいた。
 形を持たない生き物は、何かの形を取りたいと願った。

 空を飛ぶ鳥を想い、翼を欲した。
 地を駆ける獣を想い、足を欲した。
 道具を扱う者を想い、手を欲した。
 温もりを想い、炎を欲した。

 欲したものを全て詰め込むと、わけのわからない生物になった。
 どれかを選ばなければならない。ならば、どれがいいだろう?
 翼があり、手足があり、炎を持つ存在。
 記憶の中にあったいくつかの候補の中から、生き物はその姿を選んだ。






 新たな命が、始まろうとしていた。

円山翔 ( 2020/03/04(水) 21:16 )