12.天空より
その日、空から一筋の光が舞い降りた。
光の中には、小さな生き物がいた。
形を持たない生き物は、何かの形を取りたいと願った。
空を飛ぶ鳥を想い、翼を欲した。
地を駆ける獣を想い、足を欲した。
道具を扱う者を想い、手を欲した。
温もりを想い、炎を欲した。
欲したものを全て詰め込むと、わけのわからない生物になった。
どれかを選ばなければならない。ならば、どれがいいだろう?
翼があり、手足があり、炎を持つ存在。
記憶の中にあったいくつかの候補の中から、生き物はその姿を選んだ。
新たな命が、始まろうとしていた。