プロローグ 運命はここから回り始める
激しく風と雨が吹き荒れる夜、ときおり落ちる雷の光が暗い空を一瞬照らす。
そんな嵐の中に三つの影が通って行く。
「うわっ!」
「●●●●!大丈夫か!?」
「あ、ああ何とか……」
「けど、●●●、このままだとたどり着く前に……」
「ああ、だがもう少しだけ……。何とか頑張るんだ!」
「そうだ、あと少しなんだ……。だから絶対に諦めんな!」
「そうね……。ごめんなさい●●●、●●●●。」
どうやら何処かを目指しているようだが、嵐のせいで無事にたどり着くのか影の内の一人はかは不安になっているようだった。
「……!●●●、●●●、危ない!!」
「え!?」
「何!?」
気づいた時にはもう遅く、無慈悲にも雷が影達に直撃する。
「うわあああああっ!!」
「きゃあああああ!!」
「くっそおおおお!!」
三つの影達は雷の光の中に消えていった。
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空がオレンジ色に染まる黄昏時、ポケモンの姿を模した建物の前に一匹のポケモンが立っていた。
「うーん……やっぱりやめようかな……」
実は、このポケモンは何度もこの建物に何度も入ろうとしていたが諦めている。
その理由はこの建物に入るためのきまりが関係していた。
この建物に入るためには建物の前にある格子の上に立つ必要がある、そこから聞こえる声がそのポケモンの恐怖の対象になっていたのだ。
「いや、今日こそはあのプクリンのギルドに弟子入りするんだ。勇気を振り絞らないと!」
ポケモンは首にかけた欠片を握りしめ、格子の上に立った。
「ポケモン発見!!ポケモン発見!!」
「誰の足形?誰の足形?」
「足形はリオル!!足形はリオル!!」
「や、やっぱり無理!!」
そう言ってリオルと呼ばれたポケモンは走り去って行ってしまった。
「…足形見失いました……」
「またか……。いい加減、慣れてもいいと思うがな……」
そんな会話か格子の下でされていることはリオルは知るよしも無い。
そして戻って地上、リオルが去った後に二匹のポケモンが脇の草むらから出てきた。
一匹はズバット、もう一匹はドガースというポケモンだ。
「おい、ヴァン今の見たか?」
「ああ、勿論だぜ。モック。あいつ、珍しそうな物を持っていたな?……きっとあれはお宝だぜ。」
どうやら二匹はリオルのやり取りを見ていたらしく、怪しげに笑いをうかべていた。
「…狙うか。」
「おう。」
そう言って二匹も建物の前を去っていった。