バクフーン達の冒険 - 第1章 ポケモン捜しとジム巡り
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第4話 初めてのジム戦
「初めてのジム戦、めっちゃ気合い入るぜ!」

 ラグラージの家に泊めてもらっていたバクフーンとリザードンは朝早くに起き、ウォータージムを訪ねて早速ジム戦を申し込もうとしていた。
 初めてのジム戦という事もあってか、バクフーンは気合いが入ってまだバトルをやっている訳でもないのに背中から炎を吹き出している。

「凄く気合い入ってるねバクフーン」

「まぁ初めてのジム戦だから当然――ってうわっ!?」

 てっきり家にいると思っていたラグラージがすぐ隣にいた事にリザードンは驚く。

「おまっ、いつからいた!?」

「最初からいたよ。一緒に家を出てここまで来たんじゃないか」

 リザードンに驚かれてムスッとした表情を浮かべるラグラージ。

「いや悪ぃ、本当に気づかなくて――」

「頼もーっ!」

 そしてバクフーンは1人で先に行き、勢いよくジムの扉を開いて中へ入っていった。

「ってお前はまた先に行くなよっ!?」

 先に行ってしまったバクフーンを慌てて追い掛けるリザードン、それに続いてラグラージも追い掛けていく。

「うぉ〜、これがジムのバトルフィールドかぁ! なんかおもしれぇフィールドだな」

 先にジムに入っていたバクフーンはウォータージムのバトルフィールドを見て目を輝かせる。
 バトルフィールドは大きなプールの上に出来ていて複数の柱に支えられており、バトルフィールドの中央と隅、合計5ヶ所に穴が空いていてそこからプールに入れるようになっている。

「プールに浮かぶバトルフィールドか……水タイプのジムらしい作りになってんだな」

 バクフーンを追い掛けてきたリザードンとラグラージが到着した。

「ようこそ」

「ん?」

 とある1人のポケモンがバクフーン達に声を掛けた。
 声がした方へバクフーン達が振り向くと、そこには長魚みたいな姿で細長い体をしていて、上半身は肌色で下半身はステンドグラスみたいなツートンカラーの青と赤の鱗を持つ。
 頭には二対になったリングのような赤い触覚と、同色でおさげ髪みたいな物が伸びている――ミロカロスという種族のポケモンがいた。

「私はミロカロス、このジムのリーダーをしています。ジムに挑戦ですか?」

 ミロカロスに尋ねられ、それにバクフーンは笑みを浮かべながら頷いて応える。

「昨日からずっとバトルがしたくてうずうずしてたんだ、早くやろうぜ!」

「元気が良いですね。分かりました、挑戦を受けましょう。ではこのジムのルールを説明しないといけませんね、こちらへ」

 ミロカロスに案内され、バクフーン達はプールに浮かぶバトルフィールドへ。
 フィールドには昨日すでに会った事があるフローゼルともう1人のポケモンがいた。
 水色を基調とした体色で、長い尻尾があり先端が魚の尻尾と似ており、耳が魚にあるヒレみたいな形状をしている魚類と哺乳類が合わさったような姿をしたポケモン――シャワーズという種族のポケモンだ。

「このジムでのルールはいたって簡単です、私達とトリプルバトルをする事です」

「トリプルバトル……3対3って事か」

 リザードンの言う事にミロカロスは頷く。

「先に相手全員を戦闘不能にさせたら勝ちです」

「分かりやすくて良いや、頑張ろうぜリザードン、ラグラージ!」

「おう」

「あのぉ……僕も参加するの? 僕は応援するつもりだけだったんだけど……」

 自分もジム戦に参加するような流れになっていてラグラージは少し困った表情を浮かべる。

「あきらめろラグラージ、バクフーンがもうやる気満々だ」

 リザードンに言われバクフーンを見てみると、すでにバクフーンは準備体操を始めてバトルに備えていた。
 それを見たラグラージはため息を吐く。

「はぁ……しょうがないね、分かったやるよ」

 断れそうな雰囲気ではなく、ラグラージは仕方なくバトルに参加する事を決めた。

「ではそろそろ始めましょうか。審判は任せましたよ」

「分かりました」

 ミロカロスに言われ、1人のポケモンが審判台に立つ。
 黒と白を基調とした体色、お腹に渦巻き模様があるオタマジャクシに手足が生えたような姿をしており、手は手袋を着用しているような形をしている――ニョロゾと呼ばれる種族のポケモンだ。

「それではこれより、ジムリーダーミロカロス率いるチームとチャレンジャーチームによるジム戦を開始いたします。ルールはトリプルバトル、先に相手を全て戦闘不能にしたチームが勝利となります……では、試合開始!」

「電光石火からのフレアドライブ!」

 ニョロゾの合図と同時に全身を凄まじい炎で包み、その状態でバクフーンはいきなり素早い身のこなしでミロカロス達に向かって突っ込んでいった。

「あのバカっ、1人で突っ込む気かよ!?」

 リザードンは翼を力強く羽ばたかせて一気に空へ飛翔し、1人で突っ込んでいったバクフーンを援護する為に慌てて追い掛ける。

「1人で突っ込んでくるとは面白い、援護しろシャワーズ! アクアジェット!」

 フローゼルは全身を水で覆い、2本ある尻尾をスクリューのように高速回転させて勢いよくバクフーンに向かって突っ込んでいく。

「援護なら任せろッスよ、手助け!」

 シャワーズの体から白いエネルギー波が放出され、それはフローゼルに直撃する。
 するとフローゼルの体から白いオーラが出現し、アクアジェットの勢いがさらに増した。
 手助けとは名前の通り、味方が繰り出す攻撃技を手助けして威力を上げる補助技なのだ。

「させっかよ、火炎放射!」

 バクフーンに追いついたリザードンは口から強力な炎を吐き出し、空からフローゼルを攻撃する。
 しかしフローゼルは途中で軌道を変えて火炎放射を避け、空中にいるリザードンに真っすぐ突っ込んでいく。

「俺の狙いは最初からお前だったんだよ!」

「なっ、うわぁっ!?」

 回避する事が出来ずにリザードンはフローゼルのアクアジェットが腹部に直撃し、天井にに向かって吹き飛ばされる。
 だがリザードンはなんとかこらえ、天井にぶつかる前に体勢を立て直す。

「くらえぇーっ!」

 リザードンが体勢を立て直した時、バクフーンはミロカロスに向かってフレアドライブを直撃させようとしていた。

「守る」

 しかしミロカロスが前方にエネルギーの壁を出現させる。
 かまわず突っ込んだバクフーンだったが守るを突き破る事が出来ず、バクフーンはフレアドライブをミロカロスに決める事が出来なかった。
 守るによってフレアドライブが弾かれ、バクフーンは体勢を崩される。

「ハイドロポンプ!」

 体勢を崩したバクフーンに向けて、シャワーズは口から大量の水を勢いよく吐き出す。

「やっば!?」

「守る!」

 シャワーズが放ったハイドロポンプがバクフーンに直撃しそうになった時、いつの間にかやって来ていたラグラージがバクフーンの前に立って守るを発動させてハイドロポンプを防いだ。

(なっ、こいついつの間に!? 全然気配を感じなかったッスよ!?)

 影が薄い為ラグラージの気配に全く気づかなかったシャワーズ、いきなり目の前に現れたラグラージにハイドロポンプを防がれてしまった事に驚いている。

「落ち着きなさいシャワーズ、私の援護をお願いします。ハイドロポンプ!」

「り、了解ッス、手助け!」

 冷静なミロカロスはすかさずハイドロポンプを放ち、彼女の一言で落ち着きを取り戻したシャワーズは手助けを使う。
 手助けによって強化されたハイドロポンプがラグラージが発動している守るに直撃する。

「くっ……」

 強化された強力なハイドロポンプの勢いに押され、踏ん張るラグラージだが少しずつ後方へ押されていく。

「バクフーン、この攻撃は僕が食い止めるから今のうちに反撃して!」

「任せろ!」

 バクフーンは電光石火で素早くラグラージの後ろから飛び出し、ハイドロポンプを放つミロカロスの真後ろへ回り込む。

「噴火!」

 バクフーンは背中から強力な炎を火山が噴火するが如く大量に放出させミロカロスに向けて放つ。

「させねぇッスよ、波乗り!」

「俺も波乗りだ!」

 ミロカロスのすぐそばにいたシャワーズと、彼女を援護する為に素早く戻ってきていたフローゼルが2人同時に同じ技を発動させる。
 2人の足下から大量の水が吹き出し巨大な波となり、2人は波に乗ってバクフーンに向かっていく。
 バクフーンが放った噴火はシャワーズ達の波乗りによって飲み込まれて消えてしまった。

「げっ!?」

「掴まれバクフーン!」

 シャワーズ達が放った波乗りが直撃する寸前、空中から素早く急降下したリザードンがバクフーンに手を差し出す。
 バクフーンはその手をしっかりと掴み、リザードンに空中へと引っ張り上げてもらう事で波乗りを間一髪で回避する。

「リザードン、俺をミロカロスに向かって思いっきり投げてくれ!」

「はぁっ!?」

 まだラグラージに向けてハイドロポンプを放ち続けているミロカロスに向かって自分を投げろと言い出したバクフーンにリザードンは思わず驚きの声を上げてしまう。

「おまっ、マジで言ってんのかそれ!?」

「マジもマジ、大マジだ。今ならシャワーズもフローゼルもミロカロスから離れてて援護出来ない筈……迷ってる暇なんてねぇんだ、俺をぶん投げろ!」

「……ったく、分かったよ! おらぁぁぁっ!」

 リザードンはバクフーンの手をしっかりと握ったまま体を回転させ、勢いよくミロカロスに向かってバクフーンを投げる。

「フレアドライブ!」

 リザードンに投げられたバクフーンは空中でフレアドライブを発動させて真っすぐミロカロスに突っ込んでいく。

「なっ、守る!」

 自分に向かってくるバクフーンに気づいたミロカロスはハイドロポンプを放つのをやめ、バクフーンの方へ振り向いて守るを発動させた。
 フレアドライブを発動させたバクフーンはミロカロスの守るに激突する。
 リザードンに投げられた事と落下スピードも合わさって威力が増していたフレアドライブにより、守るを発動させたミロカロスだが大きく後方へ吹き飛ばされ、フィールド中央に空いていた穴に落ちてプールの中へ入ってしまった。

「よくもリーダーを……シャワーズ、雨ごいを使え!」

「了解ッス!」

 フローゼルに言われ、シャワーズは口から青色のエネルギー弾を吐き出して天井に向けて放つ。
 天井付近で青色のエネルギーは弾け、黒い雨雲が発生してフィールドに雨を降らせる。

「アクアジェット!」

 フローゼルはアクアジェットを発動させてバクフーンに突っ込んでいくが、そのスピードは先程よりも2倍速くなっていた。
 フローゼルは“すいすい”という特性を持っており、雨の中ではスピードが2倍に跳ね上がるのだ。

「おわっ!?」

 2倍のスピードで突っ込まれたバクフーンは回避出来ずにアクアジェットを腹部に受けてしまい、大きく後方へ吹き飛ばされてしまう。
 吹き飛ばされたバクフーンは背中からフィールドに落下する。

「まだだ!」

 吹き飛ばしたバクフーンを追ってすいすいによってスピードを強化したフローゼルが走る。

「冷凍ビーム!」

 そこへラグラージが口から超低温のビームを吐き出してフローゼルが走る先にあるフィールドに向けて放つ。
 放たれた冷凍ビームがフィールドに直撃し、フローゼルが走る先にある雨で濡れたフィールドを瞬時に凍らせてしまった。

「何っ、おわっ!?」

 凍ったフィールドに足を滑らせてフローゼルは転けてしまう。
 転けてしまい動きが止まったフローゼルに向かってラグラージは一気に接近する。

「アームハンマー!」

 ラグラージはそのたくましく太い両腕をハンマーのように振り下ろしてフローゼルを攻撃する。
 ラグラージが放ったアームハンマーはフローゼルの腹部に直撃する。
 アームハンマーが直撃した瞬間土煙が上がり、ラグラージのパワーが強かったせいかフローゼルを中心にフィールドが少しくぼんでしまっていた。

「かはっ……」

 この攻撃に耐えられず、フローゼルは気絶してしまった。

「フローゼル!?」

「次はお前だ!」

 フローゼルが倒された事に動揺していたシャワーズをリザードンは背後から接近して両腕でしっかりと締め上げ、そのままシャワーズと一緒に空中へ飛翔する。
 そして加速して円を描くようにしてクルクルと回り始める。

「地球投げ!」

 勢いがついたリザードンは一気にフィールドに向けて急降下し、締め上げていたシャワーズを思いっきりフィールドに叩きつけた。
 叩きつけられた瞬間に土煙が上がりシャワーズが見えなくなる。
 しばらくすると土煙が晴れ、中から気絶したシャワーズが姿を現した。

「フローゼル、シャワーズ、戦闘不能!」

 2人が戦闘不能である事を判断した審判のニョロゾが大きな声で宣言する。
 ニョロゾが宣言したと同時にプールからミロカロスが這い上がり、そしてシャワーズが雨ごいで降らせていた雨も上がる。

「シャワーズとフローゼルが倒されて3対1ですか……かなりこちらが不利ですね」

 完全に不利な状況にミロカロスは苦笑いする。
 そんな時、ミロカロスに向かってバクフーンが歩いていく。

「リザードン、ラグラージ、手を出すなよ。ミロカロスとは俺がバトルする」

 ミロカロスに向かって歩きながら、バクフーンはリザードン達に手を出すなと言い出した。
 これにはリザードン達とミロカロスは驚きの表情を浮かべる。

「どういうつもりですか?」

「3人で1人を一斉に攻撃するなんて、なんかずるっぽくて嫌なんだよ。だから俺は正々堂々あんたとバトルしたい」

 ミロカロスに尋ねられたバクフーンは自分の素直な気持ちを彼女に伝えた。
 それを聞いたリザードンは笑みを浮かべる。

「ふっ、バクフーンらしいな。分かったよ、俺達は手を出さねぇ。良いよなラグラージ?」

「まぁ、僕は別に良いけど」

「サンキューな2人共、さぁやろうぜミロカロス!」

 バクフーンとミロカロスのバトルを見守る事にしたリザードン達はバトルの邪魔にならぬよう離れる。
 バクフーンは笑みを浮かべながら戦闘体勢に入る。

「……面白い方ですね。良いでしょう、あなたとのシングルバトル……全力でお相手します! ハイドロポンプ!」

 先に先制したのはミロカロスだ、彼女が放ったハイドロポンプが真っすぐバクフーンに向かっていく。

「電光石火!」

 バクフーンはこれを電光石火で素早く移動する事で回避する。
 そしてバクフーンはミロカロスの真後ろへ。

「フレアドライブ!」

「何度やっても同じです、守る!」

 背後に回り込んだバクフーンは再びフレアドライブでミロカロスに突っ込んでいく。
 だがミロカロスも再び守るを使ってフレアドライブを防ごうとする。

「そうくると思ったぜ!」

 バクフーンはミロカロスの前までくるとそのまま突っ込まずに高くジャンプしてミロカロスを飛び越えた。

「なっ!?」

「噴火!」

 前方に向けて守るを発動させていた為、後ろは無防備になっていたミロカロスにバクフーンは噴火を彼女の背中に直撃させた。

「うぐっ!?」

 バクフーンが放った噴火の熱さに表情を歪ませ、体勢を崩すミロカロス。

「フレアドラ――」

「させません、アクアテール!」

 噴火を直撃させた後、着地したバクフーンは今度こそフレアドライブを直撃させようと素早い動きで接近するが、尻尾に水を纏わせたミロカロスのアクアテールがバクフーンの右頬にクリーンヒットし、バクフーンは後方へ吹き飛ばされてしまった。

「ぐっ!? さ、さすがジムリーダー……簡単にはいかねぇか」

 吹き飛ばされたバクフーンだがなんとか立ち上がる。
 しかし炎タイプであるバクフーンに水タイプの技は効果抜群、アクアテールでかなりのダメージを受けたバクフーンはふらふらになっている。
 だがそれはミロカロスも同じで噴火によるダメージが大きかった為、つらそうに息をしている。

「あなたもなかなかやりますね……ですが、ジムリーダーとしてそう簡単に負ける訳にはいきません。自己再生!」

 ミロカロスは目を閉じて意識を集中する。
 すると彼女の体から淡い光が発生し、体にある傷がみるみるうちに治っていく。
 自己再生とは自分の受けたダメージなどをある程度回復させる事が出来る技なのだ。
 ミロカロスの体から光が消えた時、彼女は元気になっていた。

「私が得意なのは持久戦……体力を回復出来る技を持たないあなたに、私を倒す事は出来ませんよ」

「いや、俺は絶対あんたに勝つ。体力を回復出来るんなら、回復出来ないぐらいの大きなダメージを与えれば良いだけの事だろっ!」

 バクフーンは全速力でミロカロスに向かって突っ込んでいく。

「これで決めさせてもらいます、ハイドロポンプ!」

 向かってくるバクフーンに、ミロカロスは最大パワーのハイドロポンプを放つ。

「絶対負けねぇーっ!」

 ハイドロポンプが放たれても避けようとはせず、バクフーンは最大パワーのフレアドライブを発動させて真っすぐに突き進んでいく。
 その時、バクフーンの体から真っ赤なオーラが出現した。
 体力が残り少ない時に発動するバクフーンの特性、猛火が発動したのである。
 猛火は発動している間、自身が使う炎技が倍近く強化されるのだ。

「うぉぉぉっ!」

 猛火によって強化された最大パワーのフレアドライブがハイドロポンプと激突する。
 フレアドライブの炎がハイドロポンプを蒸発させ、バクフーンはどんどんミロカロスに近づいていく。
 水が炎を消せない……これにはミロカロスも驚きの表情を浮かべる。

「くらえぇぇぇっ!」

 ハイドロポンプを全て蒸発させ、バクフーンはフレアドライブをミロカロスに直撃させた。
 フレアドライブを受けたミロカロスはバトルフィールドの外にまで吹き飛ばされ、ジムの壁に激突する。
 強烈なフレアドライブに耐えられず、ミロカロスは気絶してその場に倒れる。

「ジムリーダーミロカロス戦闘不能! よってチャレンジャーチームの勝利!」

「よっしゃーっ! ……けど、疲れたぁ〜」

 審判のニョロゾがバクフーン達の勝利を宣言すると、バクフーンは嬉しそうにガッツポーズをする。
 しかし疲れ果てたようで、その場に座り込んでしまった。

「お疲れさんバクフーン。しかし負けるかもってヒヤヒヤしたぜ」

「本当にね。真っ向勝負も良いけど、もうちょっと考えて行動しようよ」

 座り込んでいるバクフーンに歩み寄るリザードンとラグラージ。
 そして今まで審判をしていたニョロゾもバクフーンに歩み寄る。

「これがこのジムを勝ち抜いた証です、受け取ってください」

 そう言ってニョロゾはウォータージムを勝ち抜いた証であるウォーターバッジをバクフーンに手渡す。
 水をイメージしているようで青色で水滴に似た形をしている。

「こいつがジムを勝ち抜いた証……」

「ウォーターバッジです」

 バクフーン達がバッジを見つめていた時、意識を回復させていたミロカロスがフローゼル達に支えられながらバクフーン達の所へやってきた。

「あなた達とは良いバトルが出来ました。あなた達なら、きっと他のジムにも勝ち抜いてポケモンリーグに挑戦出来るでしょう。応援しています、頑張ってくださいね」

「ありがとなミロカロス。よっし、この調子で次のバッジもゲットしてやんぜ!」

 初めてゲットしたジムバッジを上に向けて掲げ、バクフーンは次もバッジをゲットする事を宣言する……が、その時バクフーンのお腹から「ぐぅ〜」という音が鳴り響いた。

「あはは……バトル終わったら腹減っちまった」

「お前なぁ……」

 苦笑いしてお腹が空いたと言うバクフーンをリザードンは少し呆れた表情をしながら見つめる。

「また僕の家に来る? 多分今頃サーナイトがご飯作っててくれて――」

「よし行こうすぐ行こう今行こう!」

 ラグラージが言い切る前にバクフーンはラグラージの家に向かう為、ジムから出ようとしていた。

「ちょっ、待てよバクフーン!」

 そんなバクフーンを追う為、リザードンとラグラージは慌てて走っていった。
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■筆者メッセージ
久しぶりに8000文字近くを執筆してちょっと指が疲れましたf^_^;

リメイク前ラグ君がかなり空気だったのでリメイク版ではしっかり活躍させたいと思っとります。

しかし影が薄いという設定なんで活躍しても目立たないかもしれませぬが←
バクフーン ( 2012/08/29(水) 03:29 )