第二話 ネール、初めての冒険
[side レイド]
‐薄暗の森‐
村から木の実畑へと通じる道から少し外れた森のダンジョン。木が多く生い茂っているため太陽の光がほとんど届かない場所。そのため、昼間でも少し暗い。
レイド「この不思議のダンジョンはホントに不思議な場所で、入るたびに地形や落ちている道具を変える構造になっているんだ。…あっ、落ちている道具は拾ってバッグに入れていっていいからね。」
ネール「…あ、そうなんだ…。で、さっき敵のポケモンに注意してって言ってたけど…。」
レイド「うん、ダンジョンにいるポケモンたちはみんな気が立っているせいか襲い掛かってくるんだ。だから…」
…と、俺はこんな風にネールにダンジョンのイロハについて教えながら進んでいると、いつからいたのか敵ポケモンであるヤングースが襲い掛かってきた!
ネール「ってレイド!前!」
レイド「わっとっ!相手はヤングースか…。だったら…!」
俺は右腕を大きく掲げる。俺を中心に真空が発生し、それを吸収していく。…"しんくうは"の構えだ。
レイド「はああっ…!"しんくうは"!」
俺は"しんくうは"をヤングースに向けて放つ。効果は抜群であったため、一撃で倒せた。
レイド「…ふぅ、こんな風に技で対抗して敵ポケモンを倒して進んでいくんだ。それでも厳しい場合は道具を使うのも手だね。」
ネール「…なるほどね。何となくはわかったよ。私も早くこの体に慣れなきゃ…。…あっ!」
…と、さっきのヤングースに続けて今度はツツケラが襲ってきた!
レイド「…っ!また敵か…。ここは…」
ネール「私に任せて!」
レイド「…ネールっ!?」
そう言ってネールは俺の前に回り、技を繰り出そうとしていた!
ネール「うう…!はあっ!!」
そうネールが叫んで出た技は"こごえるかぜ"だった。そのこごえるかぜはツツケラに見事命中し、ダウンしていった。
レイド「…ネール、やるな…!初めてにしては良い技だったよ。」
ネール「そ、そうかな…。たまたま上手くいっただけだと思う…。それに、レイドを助けたい!って思いがそうさせたのかな…なんて。」
そういうネールではあった。確かにポケモンの体に慣れてないというのもあってまだまだぎこちない点も多いけど、技のセンスは結構あると俺は感じた。
レイド「さて、そろそろ進もう。ダンジョンを進むには階段を探す必要があるんだ。行こう。」
ネール「うん、わかったよ。レイド。」
そうして俺は、ダンジョンやポケモンの技のイロハをネールに教えつつ、ダンジョンの出口へと到達した。
レイド「ふう、何とか帰り道まで戻れたな…。」
ネール「わあ…。ポケモンの世界ってこんなに自然がいっぱいなのね…。」
レイド「うん。俺、この森の空気が好きなんだ。のどかで緑がたくさん…。」
ネール「確かに、この空気はおいしいね…。自然といい気分になれるよ…。」
俺たちは互いに森ののどかな空気を味わい、体を休めていた。そしてしばらくして立ち上がった。
レイド「…さてと、そろそろ村へ行こう。ネールも来るんだろう?」
ネール「うん!どんなところなのか、楽しみだなぁ…。」
レイド「よし!それじゃ案内するよ!俺の住む村、オル・ナレアへ!」
そうして俺たちは、オル・ナレアという村へと歩き出した…。
この出会いから、俺の運命と共にするネールの運命が動き出し、やがて世界を巻き込んでいくのだった…。
ポケモン不思議のダンジョン 〜光の略奪者と二つの紋章〜